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横井 美月さん
中1 横井 美月さん(金剛校)『陸上の短距離走夢』
「ピー。」 この合図で走り始める。友と肩を並べ、大きく息を吸い走り始める。私はスタートラインに立つ時、不安やドキドキ感で胸がいっぱいになる。でも、いざ走るとなると不安が一気になくなり、絶対に勝たなければという強い思いに変わる。友に追いこされ、 「しまった。」 と思い少しだけ足を大幅に開く。友を追い抜かし、 「やった。」 と思い、気がぬけてまた追い抜かされる。 私はこの数秒の出来事がながいながい時間の様に思える。走っているとまるで、果てしない宇宙の空間を駆けている様な気がして来る。あの無重力の世界にいる様に体を軽くうかせ、大きくうでを振り、残りの短い距離を一生懸命に走る。 だんだんとゴールが近づいて来た。 「あの線を一番に踏まなければ……。」 体に緊張が走り、もう横の人など見るよゆうも無い。後は自分を信じてあのラインを駆け抜けるだけだ。心臓のこ動が少しずつ速くなっていく。周囲の歓声を胸にし、私は思い切り最後の一歩を踏み出した。 走り終わり、何度も大きく深呼吸をする。結果は二位。一番になる事は出来なかった。でも、悔しいという思いの中になぜか笑っている自分がいた。多分それは、走っている時の気持ち良さや楽しさに感動したのだと思う。 そして私は改めて思った。順位を競う事も大切だが、あのたった十秒程の時間にはもっと大切な時間がかくされているという事を。 この一回のレースは私に走る楽しさを初めて教えてくれたものだった。 だから私は友達と共に走る、笑顔の自分が一番輝く自分だと思う。