保護者の方が、大切な子どもに向けて「あなたは勉強をやればできるのよ」と思わず言いたくなる気持ちはよくわかります。しかし、実はこれはある種の危険性をはらむメッセージでもあることをご存じでしょうか?
「できる」とは「能力がある」というメッセージです。つまり、「生まれつき才能を持っているから、それを発揮しよう」というメッセージです。しかし、これは「固定した能力があなたにはある」という考え方に繋がりかねないものなのです。
だから「やればできる」と言われて、やってはみたけれども、その時はできなかったという事態が起きた時、「なんだ。やっぱりできないじゃないか」となってしまいがちになります。この考え方に基づくと、一度でも勉強してテストがあまりうまくいかなかったら、「自分は頭が悪いんだ」と間違った解釈に至ってしまう危険性もあるのです。
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これほどもったいない間違いはありませんが、「自分は勉強が苦手なんだ」と思い込んでいる生徒には、このような思考に陥っていることは珍しくありません。
現実を冷静に見れば、実際にやってみて最初だけできないことというのは、当たり前のことです。ここで大事なのは「最初だけ」という点です。何も最初から完璧にできる必要などないのです。
むしろ、できないからこそ、やり方を変えて何度もやり直すことで、伸びていくのが人間です。むしろ最初から何でもできる人は稀な存在でしょう。
つまり、子どもたちに伝えるべき事実は「能力は伸びるもの」ということ。人間はやればやるほど習熟していく存在であることを伝え、経験させてあげることこそが重要なのです。
今でこそ達人や専門家と言われている方々も最初は素人です。初心者の段階から今までやり続けてきているからこそ、今では熟達者として一目置かれるほどになっているのです。
中には、最初からとんでもないレベルのアウトプットができる天才も稀に存在します。極めて稀な存在だからこそ天才と言われるのです。
では、天才以外は何もしてはいけないのでしょうか? そんなことはありません。社会は、俗にいう「普通の人」が作り出したもので溢れています。最初はできなくてもやりながら伸びることで、できるようになった方々です。子どもたちがその一員になれるように支えてあげることこそ、教育の役割でしょう。
子どもたちには「やればできる」ではなく「やれば伸びる」と伝えてあげてください。これこそ、子どもたちの可能性を後押しするメッセージです。