高校受験で推薦入試を受ける際、作文・小論文が出題されるケースがあります。
しかし、いきなり完璧な文章を書くことは難しく、対策方法どころかそもそも何を書いたら良いか分からない人も多いでしょう。
そこで今回は、中学生向けの作文・小論文の書き方のコツについて解説します。作文・小論文はしっかり対策すれば、短期間での実力アップが目指せます。本記事を参考に練習を重ねてください。
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高校入試の作文・小論文についての基本知識
具体的な書き方や対策法を解説する前に、高校入試で出題される作文・小論文についての基本的な知識を押さえておきましょう。
そもそも作文・小論文とは
高校入試では、作文と小論文を明確に区別せずまとめて「作文」と記されることもありますが、この2つには違いがあります。
- 作文・・・自分の体験をもとに意見を書く。
- 小論文・・・客観的な根拠をもとに意見を書く。
問題で「作文」を求められているのに「小論文」を書いたり、その逆をしてしまったりすると減点ポイントになります。
見分け方としては、問題文中に「自分の体験を挙げながら論じなさい」などといった指示があれば作文、「具体的な根拠を挙げながら論じなさい」などとあれば小論文を求められていると考えましょう。
高校の推薦入試では、作文もしくは小論文の問題が各年度に1題出されます。毎年作文を出す学校もあれば、毎年小論文の学校もあるなど、決まりはありません。学校によって違いがあるので、受験する学校の過去問を確認しておきましょう。
推薦入試では作文・小論文が出題されることが多い
5教科の試験の代わりに、推薦入試では作文や小論文が出題されることが多くあります。理由の1つとして、文章にはその人の実力がはっきり表れるからです。
さらに作文と小論文では、採点者から評価されているポイントが異なります。基本的に作文は受験生の人柄を、小論文は知識と論理力を見られます。作文・小論文を書くときは、何を求められているのかを意識して、自分をアピールすることを心がけましょう。
出題されるテーマの傾向
入試で出題される作文・小論文は、最初にテーマを与えられる場合が多くあります。作文ならば、中学時代に取り組んだことや、高校に入学してやりたいことを問う問題が頻出されます。
小論文だと、少子高齢化や食料自給率の低下、地球温暖化のような、社会問題・環境問題について自分の意見を書かせるテーマがよく出題されます。中には文章や図、グラフなどが与えられ、それをもとに意見を書くこともあります。最近ではSDGsに関する題材も。志望校の過去問を見てテーマの傾向を確認しておきましょう。
作文・小論文はコツをつかめば実力が伸びやすい
入試で書く作文・小論文は、下の項で触れるように書き方のパターンがある程度決まっています。よってコツがつかめれば、短期間で実力を伸ばすことができます。
大切なのは、量より質。何度も書くのではなく、中身を磨き上げることを重視してください。そのためには大人の協力が不可欠です。学校や塾の先生に見てもらって、よりレベルの高い文章を追究しましょう。
作文の書き方
入試用の作文の書き方を解説します。最初は上手く書けなくても焦る必要はありません。じっくり構成を練って、少しずつ書いていきましょう。お題にまつわるエピソードと意見を決めたら、はじめに意見を述べ、エピソードを書いた後、最後に結論、という流れにすると上手に書くことができます。
中学時代に頑張った、または印象に残ったエピソードを挙げる
最初に、作文で取り上げるエピソードを挙げます。中学時代に頑張った、もしくは印象に残ったものが適しています。例えば、部活で大会などに向けて頑張った経験など。
その際、ただ「皆で頑張った」で終わらせず、自分の人柄が伝わるようにします。ムードメーカーだと印象付けたいなら、部員に積極的に声を掛けて盛り上げた話などです。仮に目立つタイプではなく試合に出られなかったとしても「冷静にチームの弱点を分析した」「士気が高まるように全力で応援した」といった活躍があったかもしれません。
「自分には大した思い出がない」という人は、逆に小さな経験からの気づきや発見を探すと良いでしょう。例えば修学旅行で、輪に入れない子に声をかけてあげた経験から、「心に寄り添える人になりたいと思った」という具合です。
答えや意見を、エピソードを踏まえて考える
問いに対する答えや意見を、エピソードをもとに考えます。「中学時代に頑張ったことと、それを踏まえて高校に入ってからやりたいことを述べよ」という問題なら、部活や学校行事などのエピソードが考えられます。
そして、それを踏まえて高校に入ってからのことを書きます。「高校に入ってからも続けたい」や、逆に「高校では違うことをやりたい」などの意見が候補となるでしょう。
作文の構成を作ったあと清書する
問題に対する答え・意見と、それに関連したエピソードがそろったら作文の構成を作ります。箇条書きや図を描くなど、清書する前に必ず構成を作りましょう。
構成は、最初と最後に答え・意見、真ん中にエピソードを書きましょう。さらにエピソードは、起承転結を意識してください。「起」はエピソードの導入。いつ・だれが・どこで・何を・どうしてという基本的な情報を書きます。「承」で話を膨らませ、「転」で流れを変える。「転」は、自分が主張する意見を持つきっかけとなった出来事や発見を書きましょう。そして「結」でエピソードを締め、最後に意見を述べます。
作文の対策方法
入試前にできる作文の対策方法について解説します。事前準備をしておくことで、本番の出来が大きく良くなるのでしっかり対策しておきましょう。
入試前にエピソードを2つか3つ考えておく
入試前の準備として、当日使うエピソードの候補を2~3つ挙げておきましょう。そして本番では、そのエピソードのどれかを使って作文を書きます。
本番で新しいエピソードを思い出すのは時間が足りなくなる恐れがあります。基本的には前もってエピソードを用意して本番に臨むのです。
ただし、学校にまつわるエピソードだけ用意していたら、入試本番では家族について問われてしまう、という事態なども想定されますので、ジャンルが異なる複数のエピソードを考えておきましょう。
過去問を参考に作文を仕上げる
志望校の過去問を参考にして、作文を書きます。インターネットや志望校の資料などで、過去に出題された作文のテーマや出題形式、文字数などを調べましょう。
ただし、先の項で触れましたが入試の作文対策は量より質。過去問の全ての作文を仕上げる必要はありません。完成度の高い作文を書くことを意識してください。
学校や塾の先生に添削してもらい、数日あるいは数週間使って作文の完成度を高めていくのです。作文を書くのに慣れて且つパターンを覚えることができれば、当日の入試でも質の高い作文を書くことができるでしょう。
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小論文の書き方
作文では体験談が重視されるのに対し、小論文では主張の立て方や理由・根拠の説得力などが重視されます。作文とは書き方が大きく異なる部分もあるので注意してください。
小論文は、はじめに問題に対する自分の主張とその根拠を3つほど考えます。そして、最初に主張を書き、次に根拠を挙げた後、最後にもう一度冒頭の主張を書くとまとまった文章が書けます。
問題に対する自分の主張を決め、根拠を3つ挙げる
小論文では自分の主張とその根拠の立て方がポイント。問題を見たら最初に自分の主張を考えます。このとき、必ずしも自分が本当に思っていることを書く必要はありません。説得力がある根拠を思い浮かべられる主張を書きましょう。
文字数にもよりますが、目安として根拠は3つ挙げてください。
例えば「男性の育児休暇を義務化すべきか」と出題された場合に、賛成で書くなら、
1、「義務化で男女の格差を減らすことができる」
2、「育児経験のある人が増え、育児している人にやさしい社会がつくれる」
3、「分担によって育児の負担が軽くなることで出産への抵抗が減り、少子化対策になる」
などが考えられます。
反対であれば、
1、「育児休暇の義務化は個人の自由を害する」
2、「育児休暇をとった男性が、必ずしも育児に参加するとは限らず実効性が低い」
3、「働きたい男性が子作りをためらい、かえって少子化が加速する」
などが根拠となりうるでしょう。
もし3つも浮かばない場合は、無理にこだわる必要はありません。ここで時間をかけるべきではないので、すでに思い浮かんでいる根拠だけで書きましょう。
主張と根拠をもとに構成を作り清書する
主張とその根拠が挙げられたら構成を作ります。小論文の構成は、作文と同じく最初に主張を書き、次に根拠を並べ、最後にまた主張をする形が望ましいのです。
構成ができたら清書していきましょう。根拠を並べる際は、「1つ目の根拠は」「2つ目の根拠は」「3つ目の根拠は」などの書き出しではじめ、根拠を明確にすることで採点する側にとても分かりやすく仕上がります。
小論文の対策方法
ここでは小論文の対策方法を解説します。エピソードを前もって準備できる作文と違い、小論文は本番の知識量も試されるため対策が少し異なります。
過去問や、それと傾向が近い問題集を解く
小論文対策の基本は、過去問やそれと類似する問題にできるだけ目を通すことです。小論文は作文と違い、書く内容を事前に準備しにくい特徴があります。
そのため、さまざまな問題を把握して知識量を増やすことが大事なのです。ただし、解答を仕上げるのはあくまでも数本のみ。過去問を全て仕上げるには当然時間が足りませんので、他は構成を作るだけにとどめます。構成だけでも作れるように練習しておけば、本番で似たような知識を問われても対応できるでしょう。
日ごろからニュースをチェックして意見を用意しておく
普段の生活でニュースを見る習慣をつけておき、それに対する意見と理由を思い浮かべておくことも効果的です。小論文では、社会の問題について出題されることが多くあります。
ニュースで扱われる問題がそのまま出題されたり、類似の話題が出たりします。受験期だけでも、新聞かテレビでニュースをチェックしておきましょう。
作文・小論文に共通するポイントや注意点
最後に作文・小論文どちらにも共通するポイントや注意点を挙げます。どれだけ質の高い作文でも、以下が守られていないと減点されることもあるので注意しましょう。
一文をなるべく短くする
文章を分かりやすく書くために、一文をなるべく短く書くようにしましょう。一文が長くなりすぎると、結局何が言いたいのかわかりにくくなります。
一文の目安は40~50字。それより長くなる場合は、分割して二文にしましょう。400字詰めの原稿用紙なら1行で20字なので、一文を2行以内に収めるように意識してください。
言葉づかいに気をつける
作文中の言葉づかいに気を付けることも大事です。言い切りは「だ・である調」もしくは「です・ます調」で統一します。話し言葉は書かず、誤字脱字に注意してください。
事前の練習で書いた作文を、学校や塾の先生など大人に見てもらうことで直すことができます。作文は他人の評価を聞いて修正を重ねるのが上達の近道なので、積極的に意見を聞くようにしましょう。
原稿用紙の使い方を守る
基本的なことですが、原稿用紙の使い方を守りましょう。段落のはじめは上に一マス開けて書き始めます。句読点は一マスに一つ、しかし行のはじめのマスには書かず、前の行の最後のマスに文字と一緒に書きます。
会話文はカギかっこでくくり、行を変えること。完成した作文を先生にチェックしてもらい、間違いを指摘してもらいましょう。
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まとめ
本記事では、入試で出題される、作文・小論文の書き方や対策について解説しました。作文や小論文は、特に推薦入試で出題されることが多い試験です。
作文は自分の体験を、小論文は客観的な根拠をもとに主張を書きます。中学時代の印象的なエピソードを事前に用意して練習を重ねることが対策になります。対して、小論文は過去問や問題集を参考に、知識を増やすことが重要です。
作文、小論文のどちらも完成したら、学校や塾の先生に見てもらい添削してもらいましょう。言葉づかいや原稿用紙の書き方に気を付けて、分かりやすい文章が書けるように練習してください。