昨今「中高一貫校」の人気が高まっています。
一貫校ならではの内部進学や先取り学習、設備の良さなどによって受検を希望するご家庭が増えています。また、6年間かけて余裕をもった受験対策ができる点も、中間一貫校の魅力といえるでしょう。
本記事では、この数年で入学希望者が増えている中高一貫校の選抜方法について詳しく解説します。
そもそも中高一貫校とは何か、適性検査とは何かを詳しく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
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中高一貫校とはどんな学校?
中高一貫校とは、名前のとおり中学・高校の教育を一貫して行っている教育機関です。公立の学校だけでなく、私立の中高一貫校もあります。
中高一貫校にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なります。以下では、中高一貫校の種類を解説しますので、参考にしてください。
中等教育学校(完全型)
中学校および高校での教育を1つの学校で行う教育機関です。
一般的な中高一貫校は、この中等教育学校を指します。前半の3年間を「前期」、後半の3年間を「後期」と呼び、前期を終えれば自動的に後期へと移行できます。
環境の大幅な変化がなく6年間を過ごせる点が中等教育学校の魅力といえるでしょう。また高校入試がないので、余裕をもって大学進学の準備ができるのも特徴となっています。ただし、環境の変化がないために中だるみしやすいといった意見もあるようです。
併設型
併設型の中高一貫校は、中学校と高校の設置者が同一の学校を指します。
基本的に同じ敷地内に中学校と高校があり、高校への進学試験はありません。中等教育学校と同じく、6年間かけて大学進学の準備ができる点や、同じ人間関係のなかで学校生活を営めるのが特徴です。
併設型の場合は、高校の入学者募集を行っているケースもあります。ただし、高校からの募集定員が極端に少ない学校も多く見受けられます。
また、高校からの入学者を受け付けている場合、内部進学者は中学3年生の時点で高校の内容まで進んでいるケースが多く、内部進学者と高校からの入学者で学力差が発生しやすいと言われています。
中高一貫校の選抜方法
中高一貫校は私立中学校の科目ごとの学力試験ではなく、主に適性検査・報告書・作文・面接で受検生の能力を判断します。
ここから中高一貫校の試験内容について詳しく解説していきます。
適性検査
適性検査は、公立中高一貫校で行われる学力テストです。
私立および国立の中高一貫校受験で行われる学力試験と、意味合いとしては同様といえるでしょう。ただし内容は大きく異なり、小学校の授業内容だけでは解くのが難しいような、応用・発展的な内容は出題されません。
そもそも、公立の中高一貫校では『入学者選抜に当たって学力検査を行わない』と定められています。適性検査もあくまで学力検査ではなく、思考力や表現力などをみるための内容となっています。
報告書(調査書)
報告書(調査書)は、在籍している小学校が作成する、学校での様子や学力を記載した書類です。
学期末に受け取る通知票と同様のものと考えるとイメージしやすいでしょう。学力は外国語ふくむ9教科、ないし8教科の評定を記載します。
さらに出欠状況・クラブ活動・行事での活動などを記載しているので、生徒の状況が詳細に分かります。小学5〜6年生の状況を記載するのが一般的ですが、6年生分だけや4年生からの3年間を記載するケースもあります。
作文
学校によっては、作文が受検に含まれるケースもあります。
内容は学校ごとに異なりますが、問題文を読んで400文字前後の文章を書くのが一般的です。作文では、言葉の使い方や表現力、思考力などがみられます。
日頃から活字に触れて慣れ親しむような環境を作ったり、自分の感情をきちんと言葉にする習慣を身につけておくとよいでしょう。
面接
面接では、コミュニケーションスキルや態度、マナーなどをみられます。
目上の人に接する機会を作り、適切な言葉遣いや所作を当たり前にできるようにしていきましょう。
面接は、個別・グループ・親子と実施形式が学校によって異なります。面接時間も5〜20分前後と学校によって異なります。実施の有無も学校によって異なるので、受検校の要項を確認してください。
中高一貫校の「適性検査」の内容と問われるスキル
中高一貫校の適性検査では、学力だけでなく表現力・時間管理能力などさまざまな能力が検査対象になります。
具体的にどういった能力が求められるのか、解説していきます。
基礎学力
国語・数学・理科・社会などの教科に関する基礎的な学力は、適性検査において必須の能力になります。
ただし、中高一貫校は学力検査ではないので、直接的に学力を試す問題は出題されません。問題は「教科横断型」という複数教科の知識を組み合わせて解く内容となっています。そのため、全ての教科において基礎が固まっているかが重要といえるでしょう。
読解力・想像力
文章を正しく読み解き、創造的な思考で適切な答えを導く力が求められます。
適性検査は、長文や会話文を読んで設問に答える形式となっています。そのため、問題文を正しく読み解く力や、文章から「どんな回答が求められているか」を考える力が大事になります。
表現力・作文能力
適性検査では、問題文を読んで自分なりの考えを表現する力も必要です。
たとえば「あなたの考えを400字以上で書きなさい」といった設問では、自分の考えを適切に表現する語彙力や、表現に関する引き出しの多さが試されます。
日頃からどれだけ文章に接しているか、文字や文法に関するスキルは問題ないかどうかが、評価を左右するでしょう。
リスニング力
昨今は英語のリスニング力を問う学校も増えています。
英語のリスニング問題を出す学校が増加傾向にあり、グローバル社会に向けて、世界で活躍する人材の育成を教育目標としている中高一貫校は少なくありません。
リスニングに関しては、学校の授業だけでなく塾や電子教材などを活用して、専門的に鍛えていく必要があるでしょう。
時間管理能力
時間配分に関する力も、適性検査においてとても大切です。
適性検査では、長文の問題文を読み解いて、短時間で適切な答えを導き出さないといけません。最後の問題まで回答しきれるように、時間を管理できるスキルが必須となります。
時間管理能力を鍛えるためには、日頃から時間を意識して行動するのがおすすめです。時間を区切って勉強する、本番と同じ時間で過去問を解くなど、時間を意識できる取り組みを行ってみましょう。
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中高一貫校の適性検査の対策
中高一貫校の適性検査の対策として、過去問を解く以外にも日常生活の中で意識すべきポイントがいくつかあります。
これから紹介する方法で取り入れられるものがないか、探してみてください。普段の生活から対策ができれば、精神的な負担も少なく受検に取り組めるでしょう。
適性検査の目的を理解する
まず適性検査において何を求められているのかを理解しましょう。適性検査は「小学校でどういった力を身につけたのか」や「中高一貫校に入学して勉強を頑張れるのか」を判断します。
つまり適性検査においては、全教科における平均的な学力の高さや、入学意欲をしっかりと伝えられる表現力が求められるのです。
「学校が何を求めているか?」を理解しているだけでも、対策しやすくなるでしょう。
基礎的な内容を徹底的におさえる
公立中高一貫校では、発展的な内容の問題は出題されません。
これまで習ったことが理解できていれば、解ける範囲の内容です。そのため、一つひとつの問題を確実に正解できる基礎力が必要になるので、まずは全教科の基礎固めをしましょう。
よくある事例として、最初から過去問に取り組んでしまうケースがあります。しかし、基礎力がない状態で過去問に取り組んでしまうと、問題の本質を理解しないまま進めることになり、非常に効率が悪いです。
まずは教科ごとの得意・不得意をなくし、全体的な学力の底上げを行ってください。
適性検査の過去問を活用する
基礎的な力を身につけたら、過去に実施された適性検査の問題を解きましょう。
適性検査の過去問は、各市区町村や学校のホームページで公開していることがあります。
https://www.pref.osaka.lg.jp/kotogakko/gakuji-g5/r5_tekisei.html
ただし、市区町村が公開している過去問には解説がありません。出版社が適性検査の内容をまとめた問題集を出しているので併せて活用しましょう。
データや会話などの読解力を高める
適性検査では、長文の問題文を正しく読み解く力が求められます。
そのため、普段から数字や長文に慣れ親しんでおくのがおすすめです。最初は内容を正しく理解するところから始め、少しずつ要約ができるようにいきましょう。
読解力を高める方法として、親から子への声かけがおすすめです。「この本はどういう内容?」「これってどういうデータなの?」など、子どもに対して問いかけを行うとよいでしょう。子どもが自分なりの考えを話してくれたときには、忙しくてもなるべく耳を傾けるようにしてあげてください。
読書や作文で表現力を養う
活字に触れていないと「どういった時に、どんな言い回しができるか」を知る機会が減ってしまいます。
もちろん小学生対象の検査なので、複雑な表現をする必要はありません。しかし、自分の感情や考えを表現する方法をたくさん知っておいたほうが有利です。
図書室で気に入る本があれば、同じ作者やシリーズの本をたくさん読んでみましょう。そして、読み終わった後に本の感想を400字前後で書く習慣をつけておくと、表現力がぐっと鍛えられます。
辞書や地図帳を見る習慣を身につける
知らない言葉や地名などに触れたら、辞書や地図帳で探す癖をつけましょう。
今の時代、ネット検索で簡単に情報を得られますが、まだまだ情報が間違っているケースも少なくありません。また、スマホやパソコンだとSNSやゲームにアクセスできるため、気が逸れやすいデメリットもあります。
辞書や地図帳だと関連した情報も得やすいため、勉強する際にはぜひ活用してみましょう。
新聞やニュースを見る
新聞やニュースで時事情報に触れる機会を作ると、知らない情報にたくさん出会えて価値観が広がります。
また、適性検査の問題文は基本的に数百字あるので、長文から要点を見つけ出す力はとても大切になります。新聞やニュースの内容を要約すると、長文のなかから重要なポイントを見つけ出すトレーニングになるのでおすすめです。
家族間での会話を増やす
家族間での会話を増やすと、理解力やコミュニケーションスキルが向上します。
適性検査では会話文も多く登場します。そのため、会話から「内容の軸はなにか」「相手の気持ちはどうか」などの読み解く力は役に立つでしょう。
家族間での会話を増やすためには、まず親が子どもの話をきちんと聞くことが大切です。今日どんなことをしたのか、何か楽しいことはあったのかなど、耳を傾けてあげてください。家事や仕事で忙しいかもしれませんが、できる限り時間を作って話を聞いてあげましょう。
関西の中高一貫校の例
関西の中高一貫校には、以下のような学校があります。
- 大阪府立咲くやこの花中学校
- 大阪府立富田林中学校
- 大阪府立水都国際中学校
- 京都市立西京高等学校附属中学校
- 京都府立南陽高等学校附属中学校
- 京都府立園部高等学校附属中学校
- 京都府立洛北高等学校附属中学校
- 京都府立福知山高等学校附属中学校
- 兵庫県立芦屋国際中等教育学校
- 兵庫県立大学附属中学校
今回は上記の学校のなかから、いくつかの学校をピックアップしてご紹介します。
大阪府立富田林中学校・高等学校
大阪府立富田林中学校・高等学校は『グローカル(Global & Local)リーダーの育成』を教育目標として掲げている中高一貫校です。
地域に根ざした活動をしながら、世界にも貢献できるような人材を育成するための教育を行っています。「モーニングイングリッシュタイム」「グローバルリーダー育成海外研修」など国際力を高める取り組みや、スーパーサイエンスハイスクールとしての先進的な科学教育を行っているのが特徴です。
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兵庫県立芦屋国際中等教育学校
兵庫県立芦屋国際中等教育学校は、帰国子女や外国籍学生が多く在籍する、国際色豊かな中高一貫校です。
学校生活においても、世界の各地域をテーマとした模擬店が出店される文化祭「AISHISフェスティバル」や、ニュージーランドへの研修旅行など、世界での活躍を見据えた取り組みが盛んに行われています。5年生(高校2年生)からは選択科目としてフランス語・ドイツ語・中国語・スペイン語・韓国語などの履修も可能です。
京都府立洛北高等学校附属中学校
京都府立洛北高等学校附属中学校は、創立153年と中高一貫校のなかでも非常に長い歴史を持ちます。
普通科は文理コース・スポーツ総合専攻にわかれており、部活動をはじめスポーツ分野でも素晴らしい実績を持つ学校です。さらにサイエンス科もあり、スーパーサイエンスハイスクール指定校として、科学界で活躍する人材の育成にも力を入れています。
まとめ
中高一貫校は、6年間一貫した教育によってハイレベルな教育や体験学習ができます。グローバルに活躍できる人材育成に力を入れている学校も少なくありません。堅実に大学受験対策をしていきたい、国際的に子どもを活躍させたいご家庭に、中高一貫校はおすすめといえるでしょう。
中高一貫校の入学選抜では、適性検査が重要になります。本記事で紹介した対策方法を参考にして合格を目指してください。