数年前まで減少化傾向にあった近畿圏の中学受験率が、2014年度の8.7%を底に再び上昇トレンドに入っているようです。微減を続けていた受験者数も2019年度は増加に転じ、中学受験人気がじわじわと高まっていることがデータから見て取れます。なぜこのタイミングで中学受験が見直されているのでしょうか。
実は、1つの大きな要因として挙げられるのが大学入試改革です。「中学からもう? 6年も先のことなのに?」と首をかしげてしまいそうになりますね。一体どういうことなのか見ていきましょう。背景を知れば、これまで関心のなかった方も、中学受験の情報にアンテナが向くようになるかもしれませんよ。
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1日2校の受験がスタンダード
中学受験の世界では当たり前のように使われている「午後入試」という言葉があります。
例えば、入試初日の朝からはA中学を、午後からはB中学を受験。次の日はC中学、D中学というように、1日に午前と午後に2つの学校の入試を受けることを可能にした方法です。20年ほど前に登場したときにはすんなりと受け入れられなかったものの、今ではごく一般的になっている受験方法です。
受験生は自分の実力に応じて、第1希望・第2希望・チャレンジ・すべり止めなどに設定した受験校を選択、2日で4校の入試を受けるパターンが多いようです。私立中学にとっては受験者数の確保ができ、受験生にとっては併願校の選択肢が増えます。
双方にメリットがあり、近畿圏でも午後入試実施校、受験者数ともに年々増加しています。インターネット出願ができる学校も増えて出願にともなう手続きが簡素化されていることも、この流れを後押ししていると言えるでしょう。
上の例ひとつを取ってみても、ひと昔まえに比べると中学受験の敷居はずいぶん下がっていることがわかります。しかし、これらのことはもともと受験をすると決めている生徒の選択肢の幅や利便性を高めるための方法で、中学受験人気の主因とまでは言えないでしょう。
過渡期の大学入試
人気の背景に見え隠れするのが、やはり大学入試改革です。
ご存知の通り、センター試験が2021年度から大学入学共通テストにリニューアルされます。そして2024年からは大学入学共通テストは、新学習指導要領に完全対応した入試になります。この新入試の対象となるのが、現中学1生生以下の学年というわけです。
ただ入試が大きく変わるということは決まっていても、具体的な内容については不透明な部分も残っているのが実情で、不安がぬぐい切れないというのが正直なところです。また一方で、関関同立など、私立大の入学定員数の厳格化による入試難化の波が押し寄せているという状況も大きな不安要素です。
このように入試が大きく変わる過渡期だからこそ、子どもにとって、より良い学習環境と確実な進路を、と思うのが親心というものでしょう。
選択肢に内部進学
そこで改めて注目されるのが私立中学受験という選択肢です。公立と比べ、私立は総じてハード・ソフトともに充実した教育環境が整っているという安心感があります。
そのなかでもとりわけ人気が高まっているのが私立大学の附属校です。同学年の子どもたちが大学入試改革の最前線に立たされるなか、大学までの内部進学の道があるというのは、親にとって大きな安心材料になります。
大学一般入試を回避することができるだけでなく、私立大の定員厳格化による入試難化の流れからも距離を取れるというのは、それだけでも大きなメリットになります。
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近畿圏でも関関同立系・産近甲龍系の附属校受験者数は過去最高の更新が続いています。
大学入試改革の影響がどこまで出ているかを数値化することは難しいですが、特にここ数年については、心理的な後押しとなっている可能性は高いと言えるでしょう。これまで中学受験は考えていなかったという方も、これを機会に情報収集からはじめてみてはいかがでしょうか。