興味も関心もないことをある日突然「やれ」と言われて、頑張れる人はどれくらいいるでしょうか。それでやる気を出せと言われても難しいものです。子どもに限らず、私たち大人も何度となく経験してきていることではないでしょうか。
本来は人生にとって有意義な「学び」「学習」「勉強」のはずですが、「やれ」と言われ続けることで嫌になってしまっている子どもたちは少なくありません。これはあまりにももったいないことではないでしょうか。
受験生の子供に対して、適切な距離感がわからずに悩んでいる親御さんは多いものです。何も言わなければ勉強を始めないので、ついつい「勉強しなさい」と注意してしまう。しかし、注意するとやる気をなくしてしまう。
では、どうすれば子供が勉強するのか?
必要なことは「勉強は大事」という意識づけです。人生において勉強は必要なものであるという理解を持てば子供は自発的に机に向かいます。
ここで重要なのは子供に理解してもらうのには大人が協力してあげる必要があること。私たちが子供にどのようなサポートをすべきなのか説明していきます。
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「勉強しなさい」は子供の勉強に逆効果な理由
ベネッセ教育総合研究所が行った「第4回子育て生活基本調査」では、小学校1年生から中学校3年生の子供がいるお母さん約7,500名を対象に、子供の学習へのかかわりと学習時間との関係を調査しています。
この調査では、子供の学習に対して「勉強しなさい」と声をかけることが「よくある、時々ある」と「あまりない、ぜんぜんない」という2つのグループに分けて、子供の家庭での平均勉強時間の統計を取りました。
調査の結果、小学1年生から中学2年生までは「勉強しなさい」と言う家庭と、言わない家庭で子供の勉強時間に大きな差は見られませんでしたが、中学3年生では「勉強しなさい」と言わない家庭の方が約25分も長く勉強していることがわかりました。
この結果は「勉強しなさい」と強要することが明らかに逆効果だと言えますが、その理由は何なのでしょうか。
やる気をなくす「心理的リアクタンス」
「勉強しなさい」と注意することで子供のやる気がなくなることは「心理的リアクタンス」で説明することができます。
心理的リアクタンスとは「人間が行動の自由を妨げられたとき、自由を回復しようと反発する心理作用」と定義される心理学用語です。
例えば、子供が遊んでいるときに「勉強しなさい」と注意すると、「行動する自由を妨げられた」と認識してしまい、妨げられた自由を回復するために、注意された事柄の反対の行動をとります。これが心理的リアクタンスです。
子供に心理的リアクタンスを発生させてしまうと「勉強する」ことに対する反発心を生むのです。
ネガティブな気持ちで勉強に取り組むと苦手意識につながる
心理的リアクタンスが発生している状態では、まさに「嫌々ながら」の勉強になります。
最初から勉強が嫌いな子供はいませんが、子供がやりたいのはゲームやマンガを読むこと。それを抑制して机に向かうので、どうしても前向きな気持ちで勉強することができません。
それによって勉強に対する苦手意識が芽生えてしまいます。
勉強の強要が悪影響を与えることが理解できたと思います。しかし、自由に遊んで勉強は好きな時だけすればいいと奔放に育てても決して成績は上がりません。
では、子供に強要せずに自発的に勉強に取り組むようになるにはどうすればよいのでしょうか。ここから説明していきます。
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子供が「自発的に勉強する」環境づくり
子供が前向きに勉強するには、自発的な意思を育てることが大事です。
自発的に勉強すると、「やらされている」というマイナスな感情がなくなり、自分の意思で動くため勉強効率が上がります。
とはいえ、自発的に勉強に向かわせるのは簡単ではありません。それは、なぜ勉強をするのか、勉強がどのように役に立つのかが子供には分からないからです。子供は受験や就職活動、仕事の経験がないため勉強の必要性を理解していません。
経験の不足を補うためには周囲、特に子供の身近に存在する親の役割は大きいといえるでしょう。子供が自発的に勉強する環境を親が整えてあげる必要があります。
勉強の大切さに気付かせる
自発的な勉強を促すためには、子供が「勉強の大切さ」に気付かなければなりません。勉強するとどうなるのか、逆に勉強しなかったらどうなるのか。経験してきた親の知識を子供に伝えてあげてください。
勉強すれば、高い給与や休日が多い豊かな生活を送れる可能性、子供が就きたい仕事や、やりたいことを達成できる可能性が高くなるなど、具体的に話すことが大事です。
勉強が将来の自分にとってどんな影響を与えるのかを認識すれば、子供の意識が変わって自発的に勉強してくれるようになるでしょう。
夢を実現するために必要だと意識付けする
子供に明確な「夢」があれば、勉強の大切さを教えてあげることができます。
「夢」を叶えるために、どういう資格がいるのか、どんな大学に行けばいいのか、そのために入るべき高校がどこなのかを具体化します。
その高校に合格するために偏差値がどれくらい必要か、今やるべき必要な行動は何なのかを考えさせることで、勉強の大切さを意識付けすることができます。
没頭できる体験をさせてあげる
自発的な意思を育てるのに、子供が没頭できる体験をさせてあげるのも、とても有効な方法です。
集中して取り組み結果が出た時には嬉しい記憶が鮮明に残るので、何事も意欲的にチャレンジしようと思えるようになる原動力になります。
例えば身近なクラブ活動や趣味などで、子供がやってみたいと思っている習い事をさせてあげると、自発的に動く楽しみが実感できるので、子供の行動力がより高まります。
子供がやりたい事を経験させてあげることが、自発的に勉強に取り組める子供に成長するための近道になります。普段から子供と話す時間を作って、子供の心としっかり向き合っていましょう。
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まとめ
「勉強しなさい」とただ注意するだけでは、子供はネガティブな感情を覚えるだけで逆効果になることも。子供の学習効果を高めるのに大事なのは、子供自身が勉強の大切さに気付くことです。
子供がやりたいことや将来の夢に向かって、それを実現させるために何が必要なのか、具体的な方法を親も一緒になって考えてあげましょう。そうすることで、「今なぜ勉強が必要なのか」を理解して、子供自身が前向きに努力するようになります。
経験値の少ない子供が、自分で勉強の大切さに気付くのは困難です。
自発的に勉強する環境づくりは親の大切な役割になりますので、子供に色々な経験をさせてサポートしてあげてください。