「文理学科を受けるなら英検は必須?」
「受験本番までに何級を取得すればいいの?」
大阪の文理学科の高校受験を考えているご家庭は、上記のような疑問を感じたことがあるのではないでしょうか。
この記事では、文理学科の英検利用者率や英検で保証される点数、英検を取得するおすすめの時期、英検取得のポイントを徹底解説します。
お子さまの文理学科受験を視野に入れているご家庭は、最後までご覧ください。
難関高校に合格した生徒のメッセージをチェック!
2024年、文理学科 合格率91.3%
オンラインで文理学科10高の合格を目指す!
そもそも文理学科とは
文理学科とは、2011年に大阪の公立高校に新設された学科のことを指します。大阪府内の公立進学校から大阪大学・京都大学・東京大学などの難関国立大学の合格率向上を目指して文理学科が設立されました。
大阪府公立高校の中でもトップレベルの進学校10校に、文理学科が導入されました。
- 北野高校
- 大手前高校
- 高津高校
- 天王寺高校
- 豊中高校
- 茨木高校
- 四條畷高校
- 生野高校
- 三国丘高校
- 岸和田高校
文理学科を志望する受験生は多く、2015年までは2〜3倍の入試倍率でした。しかし、2023年度においては、1.41倍と比較的落ち着いた倍率となっています。
2016年から北野高校と天王寺高校で文理学科の拡充が実現。2018年にはその他8校も文理学科のみの募集になり、文理学科の募集人数が増加したことにより倍率が安定しています。
2021年-2023年における文理学科の受験者数のデータは、次の表を参考にしてください。
| 2023年(令和5年度) | 2022年(令和4年度) | 2021年(令和3年度) |
---|
受験者数 | 4904人 | 4770人 | 4649人 |
合格者数 | 3480人 | 3480人 | 3440人 |
倍率 | 1.41倍 | 1.38倍 | 1.35倍 |
直近3年間において、志望者数・倍率ともに安定しています。今後の受験においても、1.3〜1.5倍の倍率が予想できるでしょう。
なお、大阪府公立高校入試の試験方式には、Ⅰ~Ⅴの5つの方式があります。文理学科は、「本番試験1.4倍」「内申0.6倍」と本番試験の比重が大きいⅠタイプを採用しています。
内申より本番試験が重要とされているので、後述しますが文理学科において英語の点数が保障される英検は必要不可欠となっているのです。
文理学科は約50%の生徒が英検利用
2023年度(令和5年)では、文理学科を志望する約半数の生徒が英検を利用しています。
2023年度 文理学科 英語資格利用者数
高校名 | 英検準1級利用者 | 英検2級利用者 | 合計 |
---|
北野高校 | 6.6% | 88.7% | 95.4% |
大手前高校 | 0.4% | 63.1% | 63.5% |
高津高校 | 1.0% | 44.1% | 45.1% |
天王寺高校 | 4.0% | 80.7% | 84.8% |
豊中高校 | 1.4% | 60.1% | 61.6% |
茨木高校 | 2.5% | 80.9% | 83.4% |
四條畷高校 | 0.4% | 44.3% | 44.7% |
生野高校 | 0.2% | 29.4% | 29.6% |
三国丘高校 | 1.8% | 74.1% | 75.9% |
岸和田高校 | 0.5% | 19.6% | 20.0% |
文理平均 | 1.8% | 58.1% | 59.9% |
「北野高校」「大手前高校」「天王寺高校」「豊中高校」「茨木高校」「三国丘高校」の計6校で、50%以上の生徒が英検を利用しています。
なかでも、「北野高校」「天王寺高校」「茨木高校」の3校は、約80%の生徒が英検を利用しています。上記3校を志願するのであれば、もはや英検2級は必須と言えるでしょう。
英検利用の流れは年々加速しているので、2023年度には55%以上の生徒が英検を利用しました。
大阪トップ10校の文理学科合格には英検2級が必須
ここまでご紹介したように、英検を利用して受験する生徒の数は年々増加しているので、文理学科を志願するのであれば、最低でも英検2級は取っておきたいところでしょう。
ではなぜ、最近になって英検を利用する生徒の数が増えたのでしょうか。
その理由は、以下の通りです。
- 英検2級より英語C問題の方が難しい
- 英検2級は英語C問題で8割保証される
- 英検利用者数が近年急増している
それぞれ見ていきましょう。
英検2級より英語C問題の方が難しい
大阪府公立高校入試は、基礎レベルのA問題、標準レベルのB問題、発展レベルのC問題に分けられます。
発展レベルのC問題は難易度が高く、「英語C問題」は、全国的にみても非常に高い難易度として知られています。また、英語C問題の難易度は、大学入試共通テスト程度のレベルとも言われており、SNSでも「中学生が解けるような問題ではない」という意見もあります。
多くの受験生が苦戦する英語C問題ですが、英検2級を利用すると、本番試験で80%が保証されます。
「英検2級は高校卒業レベル」と言われるように、中学生にとって難易度が高い試験なのは間違いありませんが、英語C問題で80%を取るよりは着実なのです。
英検2級は英語C問題で8割保証される
先程ご紹介したように、英検2級を活用すると、大阪府公高校入試の英語試験で8割保証されます。
| TOEFL iBT | IELTS | 実用英語 技能検定 | 読み替え率 |
---|
➀ | 60~120点 | 6.0~9.0 | 準1級・1級 | 100% |
➁ | 50~59点 | 5.5 | – | 90% |
➂ | 40~49点 | 5 | 2級 | 80% |
上記の表のように、英検だけでなく「TOEFL iBT」「IELTS」など、より実用的でレベルの高い試験を活用することもできます。
ただし、TOEFL iBTやIELTSは英検と比べて難易度が高く、問題を解くためには豊富な語彙力や文法力が求められます。また、ほとんどの受験生は英検を活用しているので、無理に難しいTOEFLやIELTSの勉強をする必要はありません。
たとえ当日に点数が取れなくても、英検2級を利用すると80%、準1級以上であれば100%保障されるのは非常に魅力的ですよね。
さらに、文理学科は本番試験に重きを置いている「Ⅰ方式」を採用しています。Ⅰ方式であれば、5教科全てにおいて「90点」×「1.4倍」=「126点」で計算されます。
そこで英検2級を利用すると、「126点」×「80%」=「100点」と、なんと100点が保証されることになりますので、文理学科では英検利用が大きなアドバンテージとなるでしょう。
英検利用者数が近年急増している
ここ3年を振り返ってみると、英検利用者が急増していることがわかります。
| 2023年 | 2022年 | 2021年 |
---|
北野高校 | 95.4% | 94.3% | 79% |
大手前高校 | 63.5% | 56.1% | 40% |
高津高校 | 45.1% | 40.4% | 18% |
天王寺高校 | 84.8% | 79.7% | 61% |
豊中高校 | 61.6% | 59.2% | 33% |
茨木高校 | 83.4% | 78.1% | 58% |
四條畷高校 | 44.7% | 37.4% | 23% |
生野高校 | 29.6% | 23.3% | 12% |
三国丘高校 | 75.9% | 64.5% | 41% |
岸和田高校 | 20.0% | 14.9% | 12% |
文理平均 | 59.9% | 54.7% | 37.7% |
英検利用者率トップは北野高校ですが、2021年には79%、2022年には93%と推移し、2023年では95%を超えました。文理全体で見ると、2021年には37.7%、2022年には54.7%、2023年には59.9%と英検利用者数が半数を超えています。
この流れは2024年度にも続く可能性が高く、いいかえると文理学科志願者の半数以上が、80%保証された状態で英語C問題を受験できるということになります。
難関高校に合格した生徒のメッセージをチェック!
2024年、文理学科 合格率91.3%
オンラインで文理学科10高の合格を目指す!
英検準1級の取得も視野に入れよう
一方で、2020年頃から英語C問題が易化してきていると言われており、2022年には合格者平均点が急上昇しています。
特に文理学科の中でもレベルの高い高校の志願者においては、英検2級で保証される8割を本番試験で超えてくる生徒も増加している傾向があります。
年度 | 2023年 | 2022年 | 2021年 |
---|
合格者平均点 | 67.3点 | 69.0点 | 54.2点 |
※100点満点換算
2022年度の試験からは平均点が約10点以上上昇しているので、文理学科を志願する場合は、もはや英検2級の8割保証が最低ラインとなってきているのです。
そこで、英検2級よりもさらに難易度の高い英検準1級を取得し、本番試験の点数が100%保証される状態で入試に臨むのも志望校合格を実現させる1つの方法です。
英検準1級は2級と比べて難易度がぐんと上がるので、取得には膨大な勉強時間が必要になりますし何度受けても合格しないリスクもあります。
「もともと英語が得意で、入試本番までに時間がある」という場合のみ、英検準1級の取得を視野に入れて勉強するといいでしょう。
英検を取得するおすすめの時期
英検を取得するおすすめの時期は、現在の英語スキルや学習進捗度によって変わります。しかし、原則として「早ければ早いほどいい」のは間違いありません。
受験期の中学3年生よりも中学2年生、2年生よりも1年生、中学生よりも小学生、という具合に早いうちから勉強を進めて、英検取得を目指しましょう。
➀小学校4年~小学校卒業
小学校4年生から英検の勉強を始め、小学校を卒業する頃には英検3級〜準2級を取得していると理想的です。
小学生のうちに中学校3年間の文法事項を予習しておくことで、中学校に上がった際に英検2級〜準1級の取得がより確実なものになります。
小学生から勉強を始める場合は、単語の暗記や文法事項の学習だけでなく、英会話などの実践的な内容の勉強も取り入れましょう。英会話でより日常的な英語を学ぶことで、英語に対する苦手意識が薄れます。英検取得に焦り、リーディングやライティングに集中しすぎるのではなく、リスニングやスピーキングの勉強も取り入れましょう。
➁中学校1年~2年
中学校に入り、1年時に英検3級、2年時に英検準2級を取得すると、3年時に英検2級の取得が現実的になります。
英検3級は「中学卒業レベル」と言われているので、1年時に英検3級取得を目標にする場合は、2〜3年の範囲を先取りしましょう。英検の勉強だけでなく学校の範囲も先取りしておくことで、学校の成績も高い状態をキープできます。
中1は基礎的な英単語や熟語、文法の勉強に力を入れ、基礎を固めましょう。加えて2級や準1級のリスニングやスピーキングに向けて、英会話やリスニングを勉強に取り入れることができれば理想的です。
また、2年時には、英検準2級の取得を目標にしましょう。英検準2級は高校中級レベルと言われており、高校の範囲も出題されるので、中学2年時に高校の範囲を先取りする必要があります。
中2に上がり準2級に挑戦する際に、1年時に基礎を固めた成果が発揮されます。中2では、中学の範囲の復習をメインで進め、高校で学ぶ単語や文法を少しずつ取り入れてください。基礎が固まった上で英語長文に取り組めば、難しい内容の長文でもある程度内容を掴めるようになります。中2のタイミングでしっかりと英語長文にも取り組んでいきましょう。
➂中学校3年1学期~2学期末
中学3年生に上がり英検の勉強を始めた場合、少なくとも実力テストで60点を取れる基礎力がないと英検2級の取得は厳しいのが現状です。
これまで英検の勉強をしたことはないが、基礎力はあるという中3生の場合、3級を飛ばして準2級の勉強から始めることをおすすめします。
実力テストで60点以上取れるということは、中学卒業レベルの3級の内容をある程度理解できているということなので、時間がない中3生に3級の勉強は必要ありません。中学3年1学期に準2級を取得、2学期に2級を取得するという流れで学習を進めることができれば理想的です。
英語が苦手科目の場合は入試直前に取得するのも一つ
実力テストなどで満足に点数が取れないものの、これまで英検の勉強をしてきており、英検の問題傾向が分かっているという人は入試本番までに英検2級の取得を目標にするのも一つです。
しかし、基礎力がない人が「受験直前に2級の勉強に力を入れる」という学習方法は、仮に2級を落としてしまった場合、本番試験で満足に得点できない可能性が高いので、かなり危険です。
英検2級は、あくまでも基礎力がある状態で受けるものと考え、基礎ができていない人は中学レベルの単語や文法の復習から始めましょう。
英検2級を取得するポイント
小中学生は、勉強の進め方が分からず、がむしゃらに勉強をしている人が多くいます。だからこそ、ポイントを抑えて勉強をすることでライバルと大きな差がつくのです。
英検にも、勉強の進め方や得点ポイントがあるので、英検2級を取得するポイントを3つご紹介します。
英検2級を取得するポイント
- まずは単語を覚えよう
- 長文は接続詞に注目する
- ライティングが英検2級の合否を分ける
まずは単語を覚えよう
英検の勉強に限らず、英語を読むなら単語を知っている必要があります。英語長文を読む際にも、知らない単語が出てくれば途端に難しく感じてしまい、内容を捉えられないという小中学生は多くいます。
特に英検においては、単語を知っていると有利に働く問題が多く用意されています。英検2級は文法問題が20問出題され、10問程度は「単語を知っていれば比較的簡単に解ける」問題が用意されています。
英単語を覚えるには、「英語と日本語の意味を繰り返し音読」しましょう。英単語の暗記には「意味を覚えるフェーズ」と「スペルを覚えるフェーズ」の2段階ありますが、英検2級レベルの単語はライティングではほとんど使わないので、意味さえ覚えれば問題ありません。
1つ1つの英単語を書き、時間をかけて覚えるのではなく、何周も音読することで「この単語は見たことがあるな」という状態に持っていき、暗記しましょう。
長文は接続詞に注目する
文法問題を突破すれば、次は長文問題が待ち構えています。
文法問題と同様に、英検2級の長文問題にも傾向があるのでご紹介します。
英検2級 長文問題の出題ポイント
- 長文の内容順に問題が出されている
- 「しかし」「実際には」などの接続詞の後に答えが記載されている
まず、英検2級の長文の問題は、長文問題の内容順に出題されています。そのため、問1の答えが第1段落にある場合は、問2の答えは第2段落に用意されていることがほとんどです。
また、答えの多くは、「However」や「though」、「As a result」など、接続詞の後に書かれているので、接続詞に注目してください。接続詞に注目する際には、「逆接」であるのか、「追加情報」であるのか、はたまた「まとめ」なのかを区別できるようになりましょう。
ライティングが英検2級の合否を分ける
語彙(文法)のパートで苦戦する中学生が多いので、ライティングでいかに得点を稼げるかが英検2級合格のカギになります。
また、日本英語検定協会によると、ライティングの採点基準は以下の通りです。
- 課題で求められている内容(自分の考えとそれに沿った理由2つ)が含まれているかどうか
- 英文の構成や流れが分かりやすく論理的であるか
- 課題に相応しい語彙を正しく使えているか
- 文法的に正しい内容を欠けているかどうか
試験用紙には、「TOPICからずれていると判断された場合は、0点と採点されることがあります。」と記載されているので、TOPICの文を正しく解釈するのが最重要です。
そして、答え方を数通り用意しておき、「三単現のS」や「前置詞や冠詞」の使い忘れなど、文法的な間違いに気を付けることで、失点を防げるでしょう。
難関高校に合格した生徒のメッセージをチェック!
2024年、文理学科 合格率91.3%
オンラインで文理学科10高の合格を目指す!
英検2級を活用して文理学科の合格を勝ち取ろう!
文理学科は、大阪府公立高校の中でも、特に学習レベルの高い高校に用意されている特別コースです。
文理学科に進学できると、高校で勉強に集中できる環境が整っており、ライバルのレベルも非常に高いです。偏差値の高い難関国立大学に進学できる可能性が高く、将来の選択肢がグッと広がります。
文理学科を目指している方は、今の学年から計画的に勉強をして、英検2級以上を取得し文理学科合格を勝ち取りましょう。