インターネットの普及にともなう情報社会化、2020年の東京五輪や外国人増加にともなう国際社会化・多文化共生社会化。
小中学生のお子さんをお持ちの保護者のみなさんの中には、そんな時代を生きるお子さんにどんな教育をすればいいのか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、国立教育政策研究所が提案する「21世紀型能力」と呼ばれる教育論についてご紹介します。ご家庭における教育指針のひとつとして、ぜひ参考にしてみてください。
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社会を生き抜く力となる「21世紀型能力」とは?
(国立教育制作研究所(2013より))
これまで、学習指導要領などがベースとする考え方として、「学力の3要素」というものがありました。その内容には、基本的な「知識や技能」、それらをもとにした「思考力や判断力、表現力」、さらに主体的にさまざまな人と協働して学ぶ「学習意欲」が含まれています。
しかし、今後求められるのは、めまぐるしく変化していく複雑な現代社会に生き抜くための、未知の問題を発見・解決していく実践的な「生きる力」です。
そして、この「生きる力」となるのが「21世紀型能力」と呼ばれる資質・能力。国立教育政策研究所が提案するこの能力は、学力の3要素を再構築したものであり、世界中の教育界で注目されている資質・能力です。
21世紀型能力を構成するのは「基礎力」「思考力」「実践力」の3つの観点。この3つの資質・能力は互いに相互関係にあり、それぞれ深く関わりを持つことから3つの円を重ねた形で表示されます。
知識を蓄え、使いこなすことができる「基礎力」
3つの円が重なった形で表される21世紀型能力の、もっとも内側に位置づけられるのが「基礎力」です。
考え、行動するためには何よりも知識が必要です。「基礎力」は言語や数、情報(ICT)を目的に応じて使いこなせる能力を指します。
学力の3要素の1つである「知識・技能」にあたりますが、今までの単なる「読み・書き・計算」だけでなく、ICTスキルや情報リテラシーといったものが必要不可欠となってきます。
問題を解決するには?21世紀型能力の中核となる「思考力」
「思考力」とは、21世紀型能力の中核となる能力のことで、「基礎力」を支えとしながら自ら問題を発見・解決したり、新しいアイデアを創造したりする能力のことをさします。さらに、問題に論理的・批判的思考をもって取り組み、その自らの考えを持って他者と話し合うことも大切です。他者と話し合うことで、それぞれの考えを吟味し、より良い解や新しい知識を得ることができます。
問題を解決した後、「自分の問題の解き方や学び方はどういうものだったか?」と振り返り、そこからさらに次に学ぶべきことを探し出す力も、社会を生きる力には必要となります。
自律的に活動し社会に参画できる「実践力」
21世紀型能力のもっとも外側の円部分となる能力が「実践力」です。
「実践力」は、日常生活や社会・環境のなかに問題を見つけ出し、自分の能力を総動員して解決していく、まさに「生きる力」となります。
具体的には、「自分の行動を調整し、主体的に活動できる力」「他者と効果的なコミュニケーションがとれる力」「協力して社会づくりに参画できる力」「倫理や市民的な責任を自覚して行動できる力」などとなっています。試験など紙の上だけで完結する能力ではなく、実際の生活のなかでの問題を解決できる実践的な力が「実践力」となります。
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さまざまな場面で21世紀型能力は育てられる
いかがでしたか。難しく思える21世紀型能力ですが、ご家庭でも日常的な取り組みで21世紀型能力を育むことができます。たとえば、ちょっとしたニュースに関して、お子さんと意見を交換するディスカッションを行ってみましょう。
正しい解が出なくても、自分なりの意見を述べ、他者とともに考えることで、コミュニケーション能力や思考力といった問題解決能力は育っていきます。