子どものやる気アップや学習の伸びをサポートするために、ぜひ身に付けたい習慣があります。
それは、「朝ごはんを食べる習慣」。
朝ごはんには、ただお腹を満たすだけではなく、脳の働きを活発にするという重要な役割があるのです。1日のスタートに朝ごはんを食べるか食べないかで、やる気や学習成績に違いが出ることも。
また、脳を最大限に働かせるためには、朝ごはんで「何を食べるか」も重要です。
以下では、朝ごはんを食べることの大切さと、小学生の子どもに最適な朝ごはんメニューをご紹介します。
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朝食を取らない小学生の学力は低下するって本当?
朝食の習慣と学力に関係があることをご存じでしょうか。
国立教育政策研究所は毎年「全国学力・学習状況調査」で小学生を対象に国語・算数のテストをおこなっています。
平成31年(令和元年)の調査結果によると、毎日朝食を必ず取っている小学生と、そうでない小学生との間には、下記のように正答率に大きな差が表れることが分かりました。
<結果概要>
- 回答は、朝食を「食べている」「どちらかと言えば食べている」「あまり食べていない」「全く食べていない」の4種類。
- テストの正答率は、朝食の習慣があるほど高い。朝食を「食べている」生徒の回答率が65.6%と最も高く、「全く食べていない」生徒の正答率が45.3%と最も低く、朝食習慣の頻度と正答率は比例関係にある。
- 「どちらかと言えば食べている」生徒の正答率は56.3%と、毎日朝食を「食べている」生徒と比べて9.3%低く、毎日の朝食習慣がある生徒とない生徒の正答率に差がある。
以上の結果をまとめると、「朝食を食べる頻度が高ければ高いほど学力も高い」傾向にあり、特に「朝食を毎日欠かさず食べる習慣と学力の高さは関係がある」と言うことができます。
小学生が朝食を食べた方が良い理由
続いては、なぜ朝食を食べることが良いとされているのか、その理由について見ていきましょう。
脳と身体にエネルギーをチャージする
まず、小学生が朝食を食べた方が良い理由として、脳と身体にエネルギーを補給することが挙げられます。
朝起きた頭と身体は、エネルギーが空っぽの状態。「前日に晩ごはんを食べたし、夜は寝ていただけだから大丈夫では?」と思うかもしれませんが、寝ている間にも脳は活動して、ブドウ糖をはじめとするエネルギーを使っているのです。
また、成長期である小学生の身体は、成長するためにどんどん栄養を欲しがっている状態。朝起きたらきちんと朝ごはんを食べて、夜の間に失ったエネルギーを頭と身体に補給しないと、次のような問題が起こります。
- 脳がエネルギー不足で、集中力や記憶力が低下する
- やる気が出ない、イライラする
- お昼までに空腹になり、勉強やスポーツでパワーを発揮できない
小学生が健やかに成長し、学習し、毎日イキイキ過ごすためには、朝ごはんが欠かせません。
体温をあげて「体にスイッチ」を入れる
他にも、小学生が朝食を食べた方が良い理由として、朝食を食べ体温をあげることで「体にスイッチ」を入れることも挙げられます。
胃、食道などの消化管は筋肉でできているため、食事をとらなければ活動せず、体温を上げることができません。朝食をとることによって、消化管が活動し、体温が上昇することで体を活動的なモードに切り替えることができるのです。
また、体のスイッチを入れるだけでなく、体温があがることで免疫も高まり風邪を引きにくくなる効果もあります。
お腹のリズムを作る
小学生が朝食を食べた方が良い理由の一つとして、お腹の消化するリズムを作ってくれることもあります。
規則正しい食事をとることで、毎日の食事の時間にあわせてお腹も消化活動を準備をしてくれるようになります。消化器官が消化をする準備をしてくれることで「朝になるとお腹が空く」ようになり、より食事のリズムを整えやすくなり好循環が生まれます。
毎日朝食をとって規則正しい食事を心掛けましょう。
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理想はパンより「ごはん」。その科学的な根拠とは
脳の主なエネルギー源はブドウ糖です。体内に蓄えておけるブドウ糖の量は限られているので、朝はごはんやパンなどの炭水化物を食べて、脳のエネルギーを補給することが大切。
中でも、理想的なのが「ごはん」。つまり、お米です。
なぜ、パンや麺よりも「ごはん」がいいのでしょうか。そこには、科学的な根拠があります。
腹持ちが良い
小麦粉は、小麦を細かく砕いて粉にしたもの。一方、お米は粒そのままの形を残しているので、小麦粉製品であるパンや麺よりも、ゆっくり消化・吸収されます。そのため、腹持ちが良く、お昼ごはんまで空腹を感じにくい、というわけです。
血糖値の上昇がゆるやか
ごはんは消化・吸収がゆっくりなので、血糖値がゆるやかに上昇し、かつ長時間維持されます。そのため、脳に負担をかけることなく、安定的にエネルギーを供給できます。
しっかり噛んで、脳を活性化
お米の粒をしっかり噛むことは、脳の活性化に効果的です。噛むことが脳の血流を促進するので、集中力や学習効果のアップにつながります。
炭水化物の量が多い
パンには炭水化物である小麦粉以外にもバターや牛乳などの材料が含まれていることが多く、炭水化物をとっているつもりでも実質の炭水化物量は意外と少ないことがあります。
たとえば食パンの場合、6枚切り1枚(60g)に含まれる炭水化物は28g。その点、ごはんなら、1食分(150g)に含まれる炭水化物は55.7g。炭水化物の量が多いので、脳のエネルギーとなるブドウ糖をしっかり補給することができます。
※参考「日本食品標準成分表」
脳を最大限に活動させるための、ごはん+α
脳にエネルギーを供給するには、炭水化物を食べることが大切。
「じゃあ、ごはんにふりかけでもいい?」かというと、そうではありません。
炭水化物は、そのままの形では脳がうまく活用できません。次に述べるようなほかの栄養素と組み合わせることによって、効率的に脳のエネルギーに変換することができるのです。
【ビタミンB1】
炭水化物をエネルギーに変換する「糖質代謝」を促進します。豚肉、納豆、豆腐などに多く含まれます。玄米にも含まれるので、主食を白米ではなく玄米にするのも効果的です。
【必須アミノ酸 リジン】
ブドウ糖の代謝を良くするほか、タンパク質やカルシウムの吸収を促進する働きがあります。ごはん食やパン食では不足しがちなので、意識的に取り入れたい必須アミノ酸です。豆類、鶏肉、卵、カツオなどに多く含まれます。
以上の2つの栄養素を特に意識して、朝ごはんに取り入れると良いでしょう。そのためには、主食のごはんだけでなく、おかずと組み合わせてバランスの良い朝ごはんメニューを用意することが大切です。
脳のエネルギーとなる「ごはん」、ブドウ糖の代謝を促進する「ビタミンB1」と「必須アミノ酸リジン」。
この3つをしっかりとれる、小学生に最適な朝食メニューはこちら。
・ごはん
(おかかを添えると、リジンをプラスできます)
・豚汁
(豚肉でビタミンB1を。ゴボウ、ニンジン、ダイコンなどの野菜もたっぷり入れてバランス良く)
・納豆か五目豆
(豆製品はビタミンB1とリジンを一度にとれる優秀食材!)
・野菜サラダ
(彩り良く、目にも楽しい朝ごはんに。ゆで卵を添えると、リジンをプラスできます)
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簡単おいしい!朝ごはんメニュー
朝ごはんは、お米を主食に、バランス良くおかずを組み合わせることが大切。とはいえ、毎朝旅館の朝食のような完璧朝ごはんを用意するのは難しいですよね。
ごはんに具をのせた丼メニューなら、簡単に作れて、小学生の朝ごはんに最適な栄養素を盛り込むことができます。
たとえば、こんなメニューはいかがですか?
【納豆&キムチの温玉丼】
ごはんに納豆、キムチ、ネギなどをのせ、半熟卵をのせます。納豆の添付のたれをかければ出来あがり。
【カツオのちらし寿司風丼】
醤油、砂糖、みりんを混ぜた漬け汁に、カツオ(刺身用)を10分ほど漬けます。酢飯にカツオをのせ、ゴマ、ノリ、シソなどを散らせば出来あがり。
手間をかけることが、良い朝ごはんの条件ではありません。
今回ご紹介した脳の働きをサポートする栄養素を上手に取り入れた朝ごはんメニューを用意することが、子どものやる気や学習効果アップにつながります。