2020年より、小学校3年生から英語の授業が必修化されました。
今後のグローバル社会において英語の必要性が高いことは周知のとおりですが、小学校の頃から英語を学ぶことにはどんなメリットがあるのでしょうか。年齢が低いうちから英語教育を行うことで、リスクがないかどうかも気になるところです。
当記事では、小学校の英語教育のメリット・デメリットを解説していきます。必修化された英語教育におくれを取らないように、気をつけるべきポイントも紹介しますので、小学生のお子さんがいるご家庭は参考にしてください。
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小学校の英語教育が必修化
2020年4月から新学習指導要領が本格的に実施され、そのなかのひとつが小学校での英語教育必修化です。
小学校の英語教育必修化とは、どのようなものなのでしょうか。必修化された背景や、実際の教育内容を具体的に解説していきます。
小学校の英語教育が必修化された背景
小学校の英語教育必修化には、グローバル化の進展が大きく影響しています。
今の小学生が卒業して、社会で働く頃には今よりもさらにグローバル化が進んでいることでしょう。その際に、国際的なコミュニケーションの主要言語である英語を習得しておくことで、社会で活躍できる機会は格段に増えるはずです。
中学卒業時にあいさつや簡単な会話などを読む、書く、聞くができる英検3級程度、高校卒業時には日常的な通常の会話を読む、書く、聞くができる英検準2級~2級以上の取得を目指しており、文部科学省の管轄で2002年より本格的に英語教育が取り入れられてきました。
2011年には5、6年生を対象に外国語活動として英語教育が必修化されました。グローバル化に対応するため、2020年には対象を3、4年生まで早めて外国語活動への取り組み、5、6年生では英語の教科化を全面実施することとなりました。
小学校では600~700語程度の語彙を習得するように学習計画が進められています。
2020年の全面実施に向けて2018年から3、4年生は年間15単位時間、5、6年生は現行の35単位時間に15単位時間を追加した年間50単位時間の経過措置が開始。他にも英語ポスターの掲示や日常の挨拶で英語を取り入れるなどの施策で、児童が自然に英語に触れられる機会が設けられていた学校が多いようです。
小学校3・4年生の英語教育内容
小学校3・4年生では、週に1コマ、年間35単位の「外国語」の授業を行います。この頃の外国語活動は、暗記や知識の勉強というよりも英語でコミュニケーションを取ることで、英語に慣れていくことが主な目的といえるでしょう。
そのため、子供たちは外国語教師の英語を聞きながら、まずは耳を英語に慣らしていきます。そして、実際に自分で英語を使いながら、話すことを体験します。外国語教師の教育方法は学校によって異なりますが、クイズや歌、ダンスなどを使って楽しく英語の授業を行っています。
小学校5・6年生の英語教育内容
小学校5・6年生になると、外国語の授業はこれまでの倍である年間70単位になります。1単位は45分で、週に2コマ程度が外国語の授業に充てられます。なかには週に2コマを外国語に充てるのが難しい学校もあり、そういった学校ではモジュール授業が採用されているところも少なくありません。
モジュール授業とは、10分や15分といった短い時間で学習を行う授業を指し、朝や昼休憩の後に組み込む学校もあります。
小学5・6年生では、「聞く」「話す」以外にも「読む」「書く」が授業に組み込まれます。単語や文法、疑問詞、代名詞、助動詞、動詞の過去形などの学習が必要です。
小学校で英語教育を行うメリット
グローバル社会に適応するためとはいえ、実際に幼少期からの英語教育が本当に役に立つのか不安に思われる方も多いのではないでしょうか。
ここからは、小学校で英語教育を行うメリットを解説していきます。
「英語脳」「英語耳」の発達
最初のメリットは、「英語脳」「英語耳」の発達です。
「英語脳」とは、英語を日本語に訳さずに理解できる脳のことです。この英語脳は、年齢が低いほど育てやすいと言われています。
13歳以降になると英語脳は育ちにくくなり、大人が英語を学習すると英語を日本語に訳してから自分に落とし込むケースがほとんどです。
また、日本語にはない英語特有の「音」を聞き取るためには、「英語耳」が求められます。「読むことはできるが、聞き取れない」という人は、英語耳が育ってないことが原因のひとつです。小学校の英語教育で早い時期から英語に触れることで、この「英語耳」を育てることができるでしょう。
のびのびと英語を学べる
次のメリットは、のびのびと自由に英語を学べるという点です。
小学校3・4年生の英語教育は、遊びの延長で行われます。クイズやダンスなどで英語に触れることで、「勉強」と意識することなく自由に英語に慣れていくことができるのです。
子供の好奇心に働きかけた英語授業は、子供の成長にも大きく影響します。英語の授業が「楽しい!」「面白い!」と感じられることで、小学校5・6年生から始まる英語教育の下地を作ることができるでしょう。
視野が広がる
視野が広がるというのも、小学校から英語教育を始めるメリットのひとつです。
特に小学校3・4年生の英語教育では、英語を通して異文化に触れる機会も多くなります。小学校の中には、ネイティブの教師が英語を教えるケースもあるでしょう。
小さな頃から異文化に触れることで、子供たちの視野は広がります。異文化や英語を特異なものと思わず、自然と受け入れられるようになるからです。
外国への興味を持つ子供や、地理や歴史が楽しくなる子供もいることでしょう。視野が広がることで、将来の可能性も大きく広がっていくはずです。
中学英語でつまずきにくくなる
最後のメリットは、中学英語でつまずきにくくなるという点が挙げられます。
中学校に入ると、英語教育が本格化していきます。これまでは1,200語程度の語彙力を学習していましたが、2020年の新学習指導要領の導入に伴い、1,600語~1,800語程度と大幅に語彙数がアップしました。
従来の児童のように、中学校からいきなり本格的な英語教育が始まると、難しくてつまずいてしまうというケースも少なくありません。中学校から始まる本格的な英語教育の準備としても、小学校での英語教育は重要な役割を果たすのです。
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小学校で英語教育を行うデメリット
ここまで見てきたように、小学校から英語教育を行うことにはさまざまなメリットがあることが分かりました。
ただし、いいことばかりではなく、いくつかのデメリットもあります。小学校で英語教育を行うことで発生しうるリスクを解説していきます。
日本語力の発達が遅れる可能性がある
幼少期から英語脳を育てることで、日本語力の発達が遅れる可能性があります。
小学校は日本語の基礎を学ぶ重要な時期です。日本語の基礎ができていない状態で、英語を学ぶことで、子供が混乱してしまう可能性もあるでしょう。
どちらの言語も中途半端になってしまう状況を「セミリンガル」といいます。日本語も英語も年齢相応のレベルに達していないと、子供の成長に支障が出てしまうでしょう。
セミリンガルにならないためには、英語だけでなく日本語の学習やコミュニケーションもしっかり行う必要があります。
他の教科にあてる勉強時間が減る
次のデメリットは、他の教科にあてる勉強時間が減るという点です。
これまでなかった「外国語」という授業が増えたことにより、他の教科に充てていた時間が少なくなりました。そのうえ、新学習指導要領では、外国語だけでなくプログラミング学習も必修化されています。
時間配分が難しくなり、従来の教科を学習する時間が減ってしまうケースもあるでしょう。
小学校はさまざまな教科の基礎を学ぶ重要な時期です。外国語だけに力を入れるのではなく、国語や算数など従来の教科もしっかり学習する必要があります。
苦手意識を持ってしまう
初期の段階で英語につまずいてしまうと、苦手意識を持ってしまうことがあり、この先の英語教育がスムーズにいかなくなってしまう可能性もあるでしょう。
特に小学校3・4年生まで英語に触れてこなかった子供が、急に英語の授業を受けると戸惑ってしまうことがあります。
周りは英語を聞いて理解しているのに、自分だけまったくついていけないと「英語は嫌い」「英語は苦手」と思ってしまい、さらに一度苦手意識を持ってしまうと、中学・高校での英語学習にも支障が出てしまいます。無理にさせるのではなく、楽しく少しずつ慣らしていくことが大切でしょう。
学習環境が整っていない
最後のデメリットは、学習環境が整っていない学校があるという点が挙げられます。
小学校3・4年生の英語の授業は、それほど難易度が高くありません。そのため、英語教育に不慣れな担任が、英語の授業を行っている学校も存在するでしょう。
反対に、ネイティブの外国人教師を雇用し、本格的な英語に触れさせている学校もあります。どうしても学校によって英語教育の環境に差が出てしまうのが現状です。
ただし、最近では教員を対象に、英語の指導方法に関する研修を行っている地域もあります。そのような取り組みの成果もあり、以前より英語指導力のムラは解消されてきているといえるでしょう。
小学校で英語教育を行う際の注意点
小学校で英語教育を行うデメリットを解消するために、いくつかの注意点を頭に入れておく必要があります。リスクを解消するためにも、ぜひここからご紹介する内容を参考にしてください。
楽しく英語を勉強させる
苦手意識を持たせないために、楽しく英語を勉強してもらうことが重要です。
楽しいと思えると、ドーパミンという化学物質を放出して学習効果が高まります。反対に、授業のレベルについていけず、「難しい」や「面白くない」などと感じてしまったりすると、英語に対する苦手意識がついてしまうでしょう。
子供が「英語を学んで楽しい」と感じられるよう、英語の問題が解けたことや発音などを褒めてあげてください。また、家でも英語の歌を流したり、英語のアニメを見たりすることで、少しずつ英語に慣らしていくこともおすすめです。
最近では手軽に英語の学習ができるアプリも出ています。さまざまなツールを活用しながら、楽しみながら英語を学べる環境を作ってあげましょう。
短期で成果を出そうとしない
次の注意点は、短期で成果を出そうとしないことです。
小学生の英語教育では、まず楽しく学べることを目標にしてください。そのためには、すぐに成果を求めるのではなく、長期的な成長を見守る必要があります。
なかなか結果が出なかったり、語彙力が伸びなかったとしても、焦る必要はありません。「今は英語に慣れる時間だから」と考えて、子供のモチベーションの大事にして、長い目で見守ってあげましょう。
日本語の学習も疎かにしない
日本語の学習も疎かにしないように注意しましょう。
先述したように、英語教育に力を入れ過ぎて、日本語の学習が遅れてしまうと「セミリンガル」になりかねません。
幼少期から英語を習っているからといって、全員がセミリンガルになるわけではなく、日本語の学習が疎かになっていることが影響します。
子供とたくさんコミュニケーションをとって、日本語に触れる機会を増やしていきましょう。
英語の基礎学力をつけて授業に挑む
小学校の英語教育におくれを取らないよう、英語の基礎学力をつけてあげるといいでしょう。
英語の授業を理解して進めることができないと、子供は英語がつまらなくなってしまいます。英語教育についていけていないと感じた場合は、家庭でも早めに対策をとりましょう。
もっとも効果的なのは、学習塾を活用する方法です。第一ゼミナールの英語レッスンでは、将来グローバル社会でも活躍できる指導を実施しています。
特徴は、日本人だけではなくネイティブの外国人講師が「生きた英語指導」を行っていることです。小学3年生以上を対象にした「小学生わくわく英語コース」では、「読む」「聞く」「話す」「書く」すべての技能を習得できるように日本人講師と外国人講師がダブルでアプローチを行います。
オリジナルの教材を使うことで、口から自然に英単語が出るようになるでしょう。
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まとめ
2020年から小学校3年生での英語教育が必修化されたことは、グローバル化に対応する教育改革の重要な一環です。この変更は、子どもたちに早期から「英語脳」や「英語耳」を育成する機会を提供し、異文化理解を深めることを目指しています。
小学3年生から自然に英語に触れることで、英語学習へのハードルが低くなります。それにより、中学・高校の英語教育にも自然に順応できるでしょう。
小学校で英語に対する苦手意識がついてしまうと、学習に支障が出てしまいます。親が積極的にかかわってあげて、英語を楽しく学び、英語の授業についていけることを意識してください。