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史跡・重要文化財「適塾」から学ぶ、大阪の偉人・緒方洪庵の高徳な生き方

緒方洪庵の適塾

 

大人になってからの人格や価値観の形成段階にある10代半ばの子どもには、できるだけたくさんの「ためになるもの」と触れさせてあげることが大切です。家族でお出かけの際には、子どもの人格や価値観を良い方向に伸ばせるスポットを選んでみてはいかがでしょうか。

 

そこでおすすめするのは、史跡・重要文化財「適塾」です。ここは、江戸時代後期から幕末にかけて発展した私塾を記念してつくられた場所で、創設者である緒方洪庵の生き方や精神を学べる場所。

 

「高徳の人」「不屈の人」……そのように評される緒方洪庵。ここでの学びは、「人が人としてどうあるべきか」という、誰の人生にも一度は立ちはだかる命題を考えるきっかけとなるのではないでしょうか。

緒方洪庵とは

緒方洪庵は、蘭医学者として日本の近代医学に多大な影響を与えた人物です。彼が1838年に開設した「適塾」では、西洋医学をもとに天然痘やコレラ治療の研究・治療が行われ、非常に重要な業績を残しています。

 

この塾は、福沢諭吉や橋本佐内、大村益次郎をはじめ、幕末から明治維新にかけて日本の近代国家の形成に重要な役割を担った人物を数多く輩出しました。そのため、緒方洪庵は、優れた教育者としても知られています。

 

 

自らの名声や利益を求めず、人を救うことに人生を捧げた高徳の人

「世のため、人のために人生を捧げる」

 

緒方洪庵の生き方は、まさにこのようなものでした。蘭医学者としてあふれるほどの才能と知識を持ちながら、決して名声を求めず、あくまでも病に苦しんでいる人のためだけにその才能と知識を使う。彼は、そんな医者でした。

 

彼が最も大切にしたのは「他人への愛と思いやり」であり、決して自身の名誉や利益を追求するようなことはなかったといいます。たとえ患者が貧しい人であってもお金持ちであっても一切の別け隔てなく接し、病の治療に全力を注いだのです。

 

彼は、自らが開いた蘭学・蘭医学塾「適塾」においても、こういった思想を大切にしていました。彼が学問教育以上に重要視していたのは「心の教育」であり、「人が人としていかに生きるべきか」、「命を救う立場にある医者として、どう行動するべきか」ということを弟子たちに説いていたのです。

 

「自分自身のために生きるのではなく、他人のために生きよ」

「自分自身の利害損得から離れ、他人を救うことだけを考えよ」

 

彼は、自らの行動と言葉によって、自らの思想を弟子たちに示し続けました。

 

 

目の前の命を決してあきらめず、常に最善を尽くした不屈の人

蘭医学書

 

緒方洪庵は幼少の頃から身体が弱かったため、武家の生まれでありながら、「武」の道よりも「文」の道に生きることを志しました。

 

当時は、杉田玄白が記した「蘭学事始」やドイツ人医師・シーボルトが長崎で蘭学塾を開設したことの影響により、蘭医学が注目を集めていた時代。彼も蘭医学者を目指し、蘭医学者・中天游(なかてんゆう)の門に入り学問に打ち込みました。

 

その後も様々な蘭医学者に学び、1830年に大阪の瓦町で診療所を開業。当時は不治の病とされていた天然痘の予防や治療に力を尽くしました。

 

中でも、「種痘」という天然痘の予防接種を全国に広めたことは、彼の大きな功績として知られています。彼は、6万人もの子どもたちに種痘を接種し、天然痘から多くの命を救ったのです。

 

また当時、全国的に大流行していたコレラの研究にも、洪庵は熱心に取り組みました。たくさんの人が亡くなり、世間は得体のしれない病による死の恐怖にパニック状態に陥っていました。多くの医師が未知の病を前にさじを投げる中、彼はその研究と治療を決してあきらめませんでした。

 

また、病に対する正しい知識を伝えるため、自身の研究成果から導いた最善の予防策を全国の医師に伝授。無知による無用な不安を取り除き、人々に正しい知識を広めることに力を注ぎました。

 

当時はまだコレラ菌そのものが発見されていなかったため確実な治療法の発見には至らなかったものの、彼の研究の功績は後のコレラ治療に大きな成果を残したのです。

 

 

自分の生き方を考えるきっかけとなる体験を

適塾の外観

 

そんな緒方洪庵の思想や生き方を知ることができるのが、大阪市中央区北浜にある史跡・重要文化財「適塾」です。

 

ここは国内で唯一現存する蘭学塾の遺構で、その建物は1964年に国の重要文化財に指定されています。内部は緒方洪庵が居住していた当時の状態に復元されており、見学可能。

 

建物に足を踏み入れれば、かつてこの塾で勉学に励んだ緒方洪庵と若者たちの青雲の志が感じられ、自分の生き方について考えるきっかけとなるでしょう。

 

これから様々な経験を経て大人になっていく時期に、そのような体験を重ねることはとても大切。この背景を頭に入れたうえで「適塾」を訪れ、親子で緒方洪庵の高邁な志に触れてみてはいかがでしょうか。

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