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全国初!?大阪府が所得制限なしの高校授業料完全無償化への素案を発表!

全国初!?大阪府が所得制限なしの高校授業料完全無償化への素案を発表!

2023年5月9日、吉村大阪府知事は府の高校完全無償化に向けての素案を公表しました。完全無償化になるのは、高校の授業料です。

4月の大阪府知事選では「所得など関係なく自らの可能性を追求できる社会を実現する」と教育の無償化を公約に掲げており、それを実現する動きの一環となります。

これから高校入学を控える子どもを持つご家庭では、高校の授業料完全無償化について「所得関係なく費用はかからないの?」や「いつから始まるの?」など気になっている方も多いでしょう。

本記事では、大阪府が発表した高校完全無償化について解説します。

2024年より段階的に大阪府の高校の授業料が完全無償化へ

大阪府では、所得制限なしの高校授業料完全無償化に向けて動き出しました。

2023年6月現在も、国の就学支援金と大阪府の授業料支援金補助金による授業料の無償化制度はあります。しかし、所得制限を設けているため一部の生徒しか対象となっていません

今回の完全無償化では、所得制限や子どもの人数に関係なくどの世帯も支援を受けられるようになります。

また、これまでの制度では大阪府の高校に通う生徒のみが対象でしたが、大阪府民であれば大阪府以外の関西1府4県の私立高校に通う生徒に関しても無償化の対象とする方針です。

大阪府の高校授業料完全無償化の開始時期

大阪府の高校授業料完全無償化は、2024年度から段階的に進められます。

2024年度の3年生から所得制限の撤廃を開始し、2025年度は2〜3年生、2026年度には1〜3年生すべての学年で完全無償化となる見込みです。

このスケジュール通りに進むと、2023年度時に中学1年生以下の生徒からは、高校3年間の授業料が無償になります。

「完全無償化」の注意すべき点

メディア等では「高校完全無償化」との見出しが多くみられますが、高校にかかる費用がすべて無償になるわけではない点に注意しなければなりません。

「完全無償化」と聞くと高校に通う上でかかる費用すべてが無償になると誤解する方もいるでしょう。しかし、無償化になるのは「授業料」のみです。

入学金や制服代、課外活動費、施設設備費などの費用はこれまで通り保護者の負担となります。

参照:大阪における高校・大阪公立大学等の授業料等無償化制度の基本的方向性について(素案)

授業料の無償化で保護者の負担が軽減されることは間違いないでしょう。ただ、金銭的負担がゼロになるわけではないのでご注意ください。

大阪府の高校完全無償化の財源は

高校全学年の無償化に対して、年間200億円を超える公費が必要であると見込まれています。

現在は、年間約160億円が高校生の授業料支援に使われています。さらに200億円超の財源を確保するとなると、どこから財源を確保するかが気になるところでしょう。

大阪府によると、この新たな財源はこれまで大阪府の負債を返済するための積立金である「減債基金」の穴埋めに投じてきた費用を充てるとのことです。

また、各自治体の貯金にあたる財政調整基金も活用して財源を確保していくようです。

高校在学中にかかる学費

文部科学省が発表している「令和3年度子供の学習費調査」では、学校外活動(習い事や塾にかかる月謝や交通費等)を含む教育費にかかる費用をまとめています。

ここからは、文部科学省が発表している調査をもとに公立高校・私立高校に通う際の学習費について紹介します。

  • 高校3年間の学習費
  • 公立・私立高校(全日制)の学校教育費の内訳

高校在学中にかかる費用は、公立高校と私立高校では2倍以上の差があります。高校に進学するとどれだけの費用がかかるのか、おおよその金額を把握しておきましょう。

高校3年間の学習費

前述の「令和3年度子供の学習費調査」」によると、高校3年間の学習費(学校外活動も含む)は以下の通りです。

  • 公立高校(全日制):1,543,116円
  • 私立高校(全日制):3,156,401円

前回の平成30年度調査では公立高校で1,372,072円、私立高校で2,904,230円でした。

このことから、公立にしても私立にしても3年間で子どもにかかる学習費は大幅に増加したことがわかります。

また、単純計算でも私立高校に子どもを通わせる場合は、年間100万円近くの費用がかかると考えておく必要があるでしょう。

公立・私立高校(全日制)の学校教育費の内訳

公立・私立高校(全日制)で入学初年度1年間にかかる学校教育費は、公立高校で平均309,261円、私立高校で750,362円です。

この費用のうち授業料は、公立高校で平均52,120円、私立高校で平均288,443円になります。

その他の内訳は以下の通りです。

公立高校私立高校
入学金等16,143円71,844円
授業料52,120円288,443円
修学旅行費等19,556円 26,549円
学校納付金等 32,805円 115,808円
図書・学用品・実習材料費等 53,103円 64,259円
教科外活動費 39,395円 47,013円
通学関係費 91,169円 129,155円
その他4,970円7,291円
合計 309,261円 750,362円

出典元:文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」

高校1年間でかかる費用のうち授業料の割合は公立で16.9%、私立で38.4%です。公立・私立ともに授業料以外にも多く費用が必要であることがわかります。

高校の学費負担を軽減する制度

授業料の完全無償化による学費の負担軽減は大きなものです。

しかし前述の通り、授業料は高校在学中にかかる費用の一部にすぎません。

授業料以外の費用が足りない可能性もあるでしょう。

ここでは、そのようなときに利用できる制度を3つ紹介します。

  • 教育一般貸付
  • 母子父子寡婦福祉資金貸付金制度
  • 高校生等奨学給付金

それぞれ利用するための要件が設けられています。要件に該当するかどうか必ず確認してください。

教育一般貸付

教育一般貸付は国の教育ローンと呼ばれているものです。

世帯収入条件はあるものの、子ども1人の場合は790万円、子ども2人の場合は890万円を世帯収入の上限額としているため、幅広い世帯が利用できます。

借入上限額は350万円(一定の要件に該当すれば、上限450万円)です。固定金利1.95%と比較的低い金利で借り入れができます。

母子家庭や父子家庭、子どもが3人以上の一部世帯などは金利が1.55%になる優遇制度も設けられています。

教育一般貸付は受験前でも申し込みができるのも特徴です。入学前に必要な受験費用や入学金などの準備が難しい場合にも教育一般貸付を活用できます。

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度は、20歳未満の児童を扶養している配偶者のない女性や男性、寡婦等が利用できる制度です。

この制度は厚生労働省が行っており、事業開始資金や事業継続資金、修学資金など12種類に分類されています。

その中で子どもの教育費として利用できるのが、高校や専門学校、大学、大学院などの授業料、書籍代、交通費などの資金として無利子で借り入れができる「修学資金」です。

貸付対象は、以下の通りです。

  • 母子家庭の母が扶養する児童
  • 父子家庭の父が扶養する児童
  • 父母がいない児童
  • 寡婦が扶養する子

就学期間中が貸付期間となり、償還期間は20年以内です。

この他にも就学するために必要な被服等の購入に必要な資金を借り入れができる「就学支度資金」があります。

高校生等奨学給付金制度

高校生等奨学給付金制度は、授業料以外の教育費負担を軽減するための制度です。この制度は、文部科学省および自治体が行っています。

授業料以外の教育費には、教科書費、教材費、通学用品費、入学学用品費、教科外活動費、生徒会費などが含まれます。

生活保護受給世帯、住民税所得割が非課税の世帯が対象です。

2023年度の給付額は以下の通りです。

世帯状況給付額(年額)
生活保護世帯(全日制等・通信制) 公立:32,300円
私立:52,600円
非課税世帯(全日制等・第一子)公立:117,100円
私立:137,600円
非課税世帯(全日制等・第二子以降)
※15歳以上23歳未満の兄弟姉妹がいる場合
公立:143,700円
私立:152,000円
非課税世帯(通信制・専攻科)公立:50,500円
私立:52,100円

出典元:文部科学省「高校生等奨学給付金」

高校生等奨学給付金は、返済不要の給付金です。学校又はお住まいの都道府県へ申し込みをします。

大阪府「高校授業料完全無償化」にあがる懸念の声

大阪府の高校授業料完全無償化は、子育て支援においても少子化対策においても喜ばしいニュースでしょう。

しかしながら、高校授業料完全無償化については懸念の声もあがっています。

理由として、現段階の案では、私立高校に負担が強いられる可能性があるからです。また、全国一律の政策ではないため、地域格差が広がるのではないかとの声もあります。

ここでは、高校授業料完全無償化についてあがる懸念の声についてお伝えします。

私立高校の負担

授業料が高い私立高校の場合、標準的な授業料(現段階では60万円)を上回る費用について、超過分について学校側への負担が求められます。

私立高校が超過分を負担しないという選択肢もありますが、負担しない場合は制度の対象外となります。

学校側が負担する金額が大きくなれば学校経営が圧迫されるのはもちろん、教育現場への影響も避けられないでしょう。

私立高校などからは、教育の質の低下を心配する声があがっています。

教育における地域格差拡大

大阪府が全国に先駆けてスタートさせる高校授業料完全無償化ですが、教育における地域格差も懸念されています。

もちろん、今後は大阪府のように高校授業料完全無償化が全国に広がっていくことも考えられます。

しかし、自治体によっては無償化できるだけの財源がない場合もあります。

住む地域によって教育の機会に差ができることは、決して良いこととは言えません。

今後、国や自治体がこの差をどう埋めていくかが課題になるでしょう。

大阪公立大学も完全無償化に

今回の高校授業料完全無償化と合わせて、大阪公立大学に通う学生の授業料完全無償化も進められています。

対象は大阪府民の大学生と大学院生です。授業料の他、入学金も無償化となります。

高校と同じく2024年度の4年生から段階的に無償化が始まり、2026年度に大阪公立大学のすべての学年で授業料が無償となる方針です。

今後も注目される高校授業料完全無償化の制度

大阪府の高校完全無償化について解説しました。

まだ素案の段階で9月に府議会に諮るスケジュールとなっています。正式に決まれば、全国初の高校授業料完全無償化が実現します。

大阪府民の高校進学のハードルが下がり、私立高校も含めて選択肢が広がる制度となるでしょう。

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