今や褒める教育があちこちで見受けられます。子ども向け教育の「褒めるだけで子どもの成績が伸びる」というものだけでなく、企業内研修においても「褒め方」を指導するものがずいぶん増えてきました。
「褒めれば社員がよく働く」というものです。これらは一種の流行と言える社会現象かもしれないほどです。「褒める教育」を取り上げているテレビ番組も最近ではよく見受られます。
これほど情報が出回ってくると、子供たちも当然のようにどこかの段階で「褒めるコントロール」をされていることに気づきます。
実際、とある高校生から「ある日突然親が褒め出したから、びっくりした。何かと思ってググってみたら(インターネットで調べてみたら)、そういうノウハウがあるんですね。気に入らない。」という話を聞いたことがあります。
今やすっかりデジタルネイティブである彼・彼女たちの方が情報収集においては速い場面があると指摘されています。小手先のテクニックなど通用しないと思っている方が現実的な判断でしょう。
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心中では思ってもいないような「褒める」言葉は、相手にはまったく伝わりません。それどころか、コミュニケーションを繰り返せば繰り返すほど、自然と本音が伝わってしまうものです。子どもたちを勉強に向かわせるためのコントロール手法として「褒める」を使い続けることは、日々のコミュニケーションをいびつなものにしてしまいかねません。
しかし、教育心理学においては「褒める」効用として、自己効力感の向上や動機づけの効果などが報告されているのも事実です。これらの効果を無視するのももったいない話です。
では、どうすればいいのでしょうか?
大事なことは非常に簡単です。子どもたちを見ていて、本音に「すごいな、素敵だな」と思った時に、素直に気持ちを言葉に発すればいいのです。誇張する必要も小手先のテクニックを使う必要もありません。
誰しも人は万能ではありません。親にできて、子どもにできないことがあるように、子どもたちにできて親にできないことも存在します。自分にできないことを他者がしていた時に「すごいなぁ」と思うのは、至って自然な感情でしょう。それをそのままに伝えればいいのです。
「褒めてはいけない」のではなく、「子どもたちをコントロールする手法として『褒める』を使ってはいけない」ということです。「今のお前はダメだから、私が褒めてコントロールして、大人に教育してやろう」という感覚を持っていると、相手に伝わってしまいます。
そうではなく、親が「自分のことを見ていてくれている」というその姿勢が、子供たちにとって一番の応援になるものですよ。