中学生のお子さんをお持ちのご家庭のなかには、「大阪チャレンジテスト」に関する疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
実際によく聞かれる疑問は、次のとおりです。
- 大阪チャレンジテストの成績は内申点に関係するの?
- どの学年が対象で、いつ実施されるの?
- 高校受験にどう関わってくるの?
大阪チャレンジテストは、大阪府が中学生を対象に毎年実施している重要な学力テストであり、将来の進路にも大きく影響します。だからこそ、仕組みを正しく理解し、早めの対策を行うことが大切です。
そこで本記事では、大阪チャレンジテストの目的や実施背景、出題内容、成績の取扱いなどをわかりやすくご紹介します。さらに、平均点の目安や効果的な対策方法についても解説します。
お子さんの学習サポートや高校受験対策として、ぜひ最後までご覧ください。
大阪チャレンジテストとは?
大阪チャレンジテストの正式名称は「中学生チャレンジテスト」で、大阪府教育委員会が主導し、大阪府内の市町村立中学校・義務教育学校後期課程および支援学校中学部の生徒(中学1・2・3年生)を対象に実施されます。
学力の定着状況を把握し、生徒一人ひとりの学習の充実や各学校の教育の改善に役立てることが主な目的です。
まずは、大阪チャレンジテストを実施する理由や対象学年を詳しく解説します。
大阪府が実施する理由と背景
大阪府がチャレンジテストを実施する背景には、「大阪府の生徒の課題改善に向けた教育施策及び教育の成果と課題を検証し、その改善を図る」という目的があります。
特に、公立高校入試における内申点の公平性を保つため、府内の中学校間で成績評価の基準にバラつきが出ないように、客観的な学力データを補完的に用いる仕組みが整えられています。
また、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)だけではカバーしきれない学年にも対象を広げることで、継続的に生徒の学力を把握し、学習の質の向上を図るという狙いもあります。
対象学年と実施時期
大阪チャレンジテストは、中学1年生〜3年生を対象にしています。全国学力テストの対象は小学6年生と中学3年生のため、対象学年が異なる点が特徴の一つです。
なお、令和7年度の実施予定日は、以下のとおりです。
- 中学1・2年生:令和8年1月14日(水)
- 中学3年生:令和7年9月2日(火)
このように、中学3年生は高校入試に近いタイミングで実施されます。これにより、進路指導や入試対策に向けた現時点での学力の確認ができます。
次項にて、実際のテストの出題内容や形式を詳しく解説します。
大阪チャレンジテストの出題内容と形式
大阪チャレンジテストは、学年ごとに定められた教科・時間配分で実施されます。各学年の学習進度に応じた内容が出題され、基礎から応用まで幅広い力を測ることが可能です。
ここでは、テスト科目と時間配分、過去問情報をご紹介します。
テスト科目と時間配分
令和7年度における大阪チャレンジテストのテスト科目と時間配分は、以下のとおりです。
中学1年生
- 1時限目:国語(45分)
- 2時限目:数学(45分)
- 3時限目:英語(45分)
中学2・3年生
- 1時限目:国語(45分)
- 2時限目:社会(45分)
- 3時限目:数学(45分)
- 4時限目:理科(45分)
- 5時限目:英語(45分)
いずれの学年においても、出題形式は選択式、短答式、記述式問題があり、英語に関しては「リスニング問題」も含まれています。
ただし、開始時間は各学校によって異なるため、事前に確認をしておきましょう。
過去問情報について
大阪チャレンジテストでは、過去に実施された問題とその正答が大阪府の公式サイトにて公開されています。対象学年ごとに分けて掲載されており、PDF形式でダウンロード・印刷が可能です。
2025年12月時点では、令和5年度までの過去問情報が公開されています。
◆大阪府 公式サイト:令和5年度 大阪府中学生チャレンジテスト
過去問を活用することで、出題傾向や設問形式、時間配分の感覚を掴むことができます。特に、英語のリスニングや記述式問題などは、実際に経験してみないと難しさを実感しづらいため、事前の練習が効果的です。
受験学年である中学3年生はもちろん、1・2年生の段階から過去問に触れておくことで、着実に実力を伸ばしていくことができるでしょう。
大阪チャレンジテストの成績の取扱い
大阪チャレンジテストの成績は、単なる学力の確認だけではなく、調査書(内申点)や進路指導などにも影響を与える重要なデータです。
中学3年生にとっては、高校受験に向けた参考資料の一つとして位置づけられています。
ここからは、内申点や進路への影響、学校別の成績の取扱いを詳しく解説します。
内申点や進路への影響
大阪チャレンジテストの結果は、通知表に直接反映されるものではありません。ただし、公立高校入試における調査書(内申点)の作成に際して、各教科の評価を補完する資料の一つとして活用されます。
特に、定期テストだけでは判断が難しい場合や学力水準の裏付けとして参考にされるケースが多く見られます。したがって、「内申点には関係ない」と軽視するのは危険です。学力の目安として、自分の立ち位置を客観的に知る重要な機会といえるでしょう。
また、学校や教育委員会は、チャレンジテストの結果を活用して学習の定着度を分析し、進路指導や補習の対象者選定にも役立てています。
学校別の成績の扱い方の違い
中学3年生のチャレンジテストでは、学校全体の平均点を基準に個々の評定に補正をかける「団体戦」方式が採られています。これにより、学校ごとの平均点が高いと好影響、低いと不利になる可能性があるでしょう。
自分の所属する中学校のチャレンジテスト平均点が大阪府全体の平均点を上回れば、より多くの生徒に高い内申点を付けられるようになり、下回れば、より多くの生徒に低い内申点が付けられることになります。
なお、中学1・2年生は個人の成績の良し悪しで内申点が決まる「個人戦」が採用されていましたが、令和2年度から中学3年生と同じ団体戦方式に統一されています。
結果として、万が一チャレンジテストを欠席しても、学校平均に合わせて内申点が上がる(または下がる)ため、不公平ではなくなるというメリットがあるでしょう。
【学年別・科目別】大阪チャレンジテストの平均点
大阪チャレンジテストの結果は、学年や教科ごとに平均点が公表されています。
ここでは、令和6年度に実施されたテストの平均点をご紹介します。全体的に、数学や理科の得点がやや低めとなっており、教科ごとの得意・不得意が見えやすい結果となっています。
令和6年度:中学1年生の平均点
令和6年度の中学1年生の平均点は、以下のとおりです。
最も平均点が高かったのは英語で、60点を超える結果となりました。一方で、数学は平均点が49.8点と50点以下のため、苦手意識を持つ生徒が多い科目であるといえるでしょう。
ただし、年によって平均点は異なりますので、単年だけではなく、複数年度の結果を参考にすることがおすすめです。
参照:大阪府教育長_令和6年度中学生チャレンジテスト(1・2年生)の結果概要
令和6年度:中学2年生の平均点
令和6年度の中学2年生の平均点は、以下のとおりです。
- 国語:65.5点
- 数学:50.7点
- 英語:54.0点
- 社会A:49.5点
- 社会B:52.4点 ※選択問題A・B
- 理科A:45.9点
- 理科B:47.2点 ※選択問題A・B
社会と理科については、選択問題A・Bのいずれかを各学校が指定しますので、ご確認ください。
1年生に比べると、国語の平均点は高くなっていますが、英語の平均点は下がっています。さらに、社会と理科の平均点は大半が50点を下回っているため、苦手意識を持つ生徒が多いことがうかがえます。
参照:大阪府教育長_令和6年度中学生チャレンジテスト(1・2年生)の結果概要
令和6年度:中学3年生の平均点
令和6年度の中学3年生の平均点は、以下のとおりです。
- 国語:65.2点
- 数学:49.1点
- 英語:53.6点
- 社会:50.4点
- 理科A:48.3点
- 理科B:52.4点
- 理科C:52.3点 ※選択問題A・B・C
中学3年生の選択問題は理科のみであり、A・B・Cのいずれかを受験することになります。
特に、中学3年生にとっては、受験に向けての重要なタイミングでの学力把握となるため、自分の得点と大阪府平均を比較しながら、苦手分野の補強や学習方針の見直しを行うことが大切といえるでしょう。
参照:大阪府教育長 令和6年度中学生チャレンジテスト(3年生)の結果概要
大阪チャレンジテストの対策法
大阪チャレンジテストは定期テストとは異なり、府内統一の出題形式で実施されるため、より広範な理解力や応用力が問われます。しっかりとした対策を事前に行うことで、自信を持って当日に臨むことができます。
ここでは、特に効果的な3つの対策法をご紹介します。
①計画的な学習スケジュールを立てる
テスト直前に詰め込み学習をするのではなく、数週間〜2ヶ月前から逆算して、計画的に準備を始めることが大切です。
まずは各教科の出題範囲を把握し、苦手な分野から優先的に取り組むようにしましょう。日々の学習内容をスケジュールに落とし込み、無理のないペースで継続することが着実な力の定着につながります。
特に、英語や数学は積み重ねが必要な教科であり、短期間では成果が出にくいため、早めの準備を意識しておくといいでしょう。
②過去問を繰り返し解く
大阪府の公式サイトでは、過去に実施されたチャレンジテストの問題と正答が公開されています。
直近では、令和5年度 大阪府中学生チャレンジテストが公開されており、過去問を活用することで、出題傾向や難易度、時間配分の感覚などを掴むことができるでしょう。
また、1回解くだけで終わりにせず、間違えた問題は解説を確認し、再度取り組むことで理解が深まります。特に、リスニング問題や記述式の問題は、実践形式で繰り返すと効果的です。
③塾や家庭教師を活用する
独学での対策に不安がある場合は、塾や家庭教師の活用も一つの選択肢です。チャレンジテストに特化した対策を行っている塾もあり、傾向に合わせた演習や個別指導を受けることで、効率的な学習が可能になるでしょう。
また、家庭教師であれば苦手科目に絞って集中的に指導を受けやすいため、限られた時間で成果を出したい方にもおすすめです。
学校の授業だけではカバーしきれない部分を補完する意味でも、有効な手段といえるでしょう。
大阪チャレンジテストに関するよくあるQ&A
最後に、大阪チャレンジテストに関するよくあるQ&Aを紹介します。
大阪チャレンジテストが実施される理由は?
大阪チャレンジテストは、「大阪府の生徒の課題改善に向けた教育施策及び教育の成果と課題を検証し、その改善を図ること」が主な目的です。さらに、公立高校入試における内申点の公平性を保つため、客観的な学力データとしても活用されています。
また、大阪府全体での学力の傾向を把握できるため、今後の教育施策に反映できるというメリットがあります。
大阪チャレンジテストは成績に影響しますか?
テスト結果は通知表に直接反映されるものではありませんが、調査書(内申点)の評価を補完する資料として使用されます。
特に、中学3年生では高校受験に向けた進路指導の際に活用されるケースもあるため、決して無関係とはいえません。
また、学校によってはチャレンジテストの結果を三者面談で提示したり、補習や学習支援の基準にする場合もあります。
大阪チャレンジテストの対象科目やテスト時間は?
大阪チャレンジテストは、大阪府内の市町村立中学校・義務教育学校後期課程および支援学校中学部の生徒(中学1・2・3年生)を対象に実施されます。
令和7年度の実施日
- 中学1・2年生:令和8年1月14日(水)
- 中学3年生:令和7年9月2日(火)
出題教科(学年別)
- 中学1年生:国語、数学、英語(リスニング含む)
- 中学2・3年生:国語、社会、数学、理科、英語(リスニング含む)
出題形式
- 選択式問題(選択肢から正答を選ぶ)
- 短文記述問題(語句・数値など)
- 記述式問題(文章による解答)
テスト時間は45分間ですが、開始時刻は学校により異なるため、ご注意ください。
まとめ
この記事では、大阪チャレンジテストの目的や出題内容、成績の取扱い、対策方法について解説しました。
チャレンジテストは、単なる学力確認の場ではなく、自分の得意・不得意を客観的に知る貴重な機会です。特に、中学3年生にとっては、調査書(内申点)にも関係してくる重要なテストといえます。
大阪チャレンジテストの結果から自分の立ち位置を把握し、苦手科目の克服や学習計画の見直しにつなげることで、高校受験をより有利に進めることができるでしょう。また、日頃の学習姿勢や授業への取り組みといった見えにくい努力も、テスト結果と合わせて総合的に評価されることがあります。
ぜひ本記事を参考に、チャレンジテストの仕組みを正しく理解し、親子で話し合いながら進路や学習の方向性を明確にしましょう。