中学受験の入試問題を見て、「えっ、こんなに難しいの!?」と思ったことはありませんか。
私立・公立中高一貫校中学の入試問題では、小学生が学校で習うものとはひと味違った問題が出題されます。たとえば算数の問題を見ると、中学校や高校で数学を学んだ大人でも、「えっ」と戸惑ってしまうことも。
「こんな難しい問題、小学生にできるのかしら?」と不安になるかもしれませんが、中学受験の入試問題には、解き方のコツがあります。
そこで今回は、中学受験の算数の頻出問題をピックアップして、解き方を解説。まずは保護者が「わかった!」「なるほど!」と実感して、わが子の受験に対する不安を拭い去りましょう。
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中学受験の算数問題の特徴
中学受験の算数は小学校では習わないハイレベルなものが出題される傾向にあります。具体的な問題の内容は以下の通りです。
- 旅人算…速さを計算する応用問題
- 周期算…とある規則で並んだ数字において〇番目を求める問題
これらの問題はほんの一例ですが、大人にとっても簡単ではありません。大人でも難しいので、当然ながら小学生にとってはもっと難しく感じるでしょう。
そのうえ、上位中学の算数問題は単純に答えを出すだけでなく、記述式でどのようにその問題を解いたのか問われるケースもあります。
このように中学受験の算数はとても難しい問題が出題されるので、小学生で習う勉強だけしていても高得点を取ることは厳しいです。
算数は得意な子と苦手な子で大きく差がついてしまう教科ですが、算数の問題で差が付くというのは、ある意味チャンスです。仮に算数で高得点を獲得すればライバルに差を付けられるので、合格に一歩近づくでしょう。
算数で良い成績を取るためにも、まずは小学校の算数と中学受験の算数がどのように異なるのか知りましょう。
小学校の算数との違い
小学校の算数と中学受験の算数には、主に以下の違いがあります。
- 小学校の算数:公式に当てはめて答えを出す能力が問われる
- 中学受験の算数:読解力と論理的に考える能力が問われる
たとえば、小学生で習う代表的な算数問題のひとつと言えば時間の計算です。時間の計算は「道のり・時間・速度」を公式に当てはめれば答えにたどり着けます。
一方で中学受験の算数では、時間の計算に使う公式を使った旅人算や通過算などの特殊な問題が出されます。
旅人算や通過算は時間の計算に使う公式を覚えていれば解けますが、そこからさらに出題文を理解する力や柔軟な思考が必要です。
このように小学校の算数と中学受験の算数では、利用する公式こそ変わりませんが、まったく違う能力を問われます。
しかし、具体的にどのような問題を問われるのかわかりませんよね?そこで中学受験の算数で出題されることが多い旅人算と周期算の具体例と説き方をご紹介します。
【旅人算】2人が出会うのはいつ?
「旅人算」は、道のり、時間、速度を求める問題に、少しひねりを入れた問題です。
2人が出会ったり、追いかけたり、はたまた途中で休憩したり電車に乗ったりするので、大人でも「あぁ、ややこしい!」と投げ出してしまいそうですね。
まずは、基本の問題で解き方のコツをつかんで自信をつけましょう!
◇例題
AさんとBさんは、1km離れた道のりを向かい合って進みます。Aさんが分速80mで歩き、Bさんは分速120mで走っているとき、2人が何分後に出会うかを求めなさい。
旅人算に不慣れな人は、「それぞれが1000m進むのにかかる時間ならわかるけど、出会う時間はどうやって求めるの」と頭を抱えてしまいがち。
あるいは、「AさんからXmの地点で2人が出会うとして……」と、一次方程式を使って解こうとする人もいるでしょう。
ところが、このタイプの問題は、次の解き方のコツを頭に入れておけば小学生でも簡単に解けてしまうのです。
旅人算の解き方のコツ
「2人が向かい合って進むときは、2人の速さを足し算する」
実際に解いてみましょう。
二人の速さを足し算すると、80+120=200で、毎分200m進みます。※単位が揃っているか注意!
この速さで、1km=の道のり1000mを進むのにかかる時間を求めると、
1000÷200=5 答えは5分後
こんなに簡単に解けてしまいました。では、答えが合っているかどうか確認してみましょう。
Aさんが進んだ道のりは、80×5=400m
Bさんが進んだ道のりは、120×5=600m
2人が進んだ道のりの合計は、400+600=1000m
この通り、5分間で2人が進んだ距離の合計が1000mであることから、5分後に2人が出会うことがわかります。
「2人が向かい合っているときは、二人の速さを足し算する」というコツを覚えておけば、一見ややこしそうな旅人算も、簡単に解くことができるのです。「道幅が広すぎて気づかないまま2人はすれ違いました」というのはダメですよ!
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【周期算】一年後の今日は何曜日?
数字の並び方の規則性を見出し、◯周期後や△周期前の値を求めるのが周期算です。
中学受験の算数では、次のような問題がよく出題されます。
◇例題
1月1日は金曜日です。では、1年後の1月1日は何曜日ですか?
「カレンダーを見る」とか、「日付を順番に書き出していく」以外に、サクッと求める方法はわかりますか?
周期算は、名前の通り、「周期」すなわち「サイクル」を使って解く問題です。
周期算の解き方のコツ
「1サイクルの個数で割って、あまりに注目する」
実際に解いてみましょう
今回の例題では、1年後の曜日を問われています。曜日は7日ごとに巡ってくるので、1サイクルの個数は7。
そこで、1年間の日数である365を7で割ります。
365÷7=52あまり1
これは、1年365日には1週間が52サイクルあり、1日あまるということ。ここで、52サイクルという数字に注目する必要はありません。
なぜなら、1月1日が金曜日なら、1サイクル後(1週間後)が金曜日であるように、52サイクル後も金曜日だからです。
今回求めたい1年後の1月1日は、その52サイクル後の金曜日の1日後なので、曜日を1つ進めた土曜日だとわかります。
このように、周期算では、1サイクルの個数で割って、あまりの分だけずらすことで、目的の値が求められます。これも、経験的に「ちょうど1年後の曜日は一つ後ろにずれるから土曜日!」もダメです。
この基本の解き方を応用すれば、特定の日付の曜日を求める問題や、カレンダー以外の周期を使った問題でも解けるようになります。
では、上の解き方を例に、練習問題にチャレンジしてみましょう。
◇練習問題
3月7日は月曜日です。では、この年の8月28日は何曜日ですか?
この問題を解くポイントは、3月7日から8月28日までの日数です。そこで、各月の日数を書き出していきましょう。
- 3月7日~3月31日は24日
- 4月は30日
- 5月は31日
- 6月は30日
- 7月は31日
- 8月1日~8月28日は28日
よって、合計は174日です。あとは例題と同じように、1サイクルの数である7で割ればOK。
174÷7=24あまり6
8月28日は3月7日から23サイクル後の月曜日の6日後なので、答えは日曜日です。
中学受験の算数を克服する3つの方法 算数が苦手でも成績アップ
難しい中学受験の算数ですが、以下の方法でトレーニングを積むと算数の力がアップします。
- 計算問題を毎日解いて計算ミスをなくす
- 図形問題は必ず自分で図を書く
- わからない問題は復習する
では具体的な勉強方法を順番に紹介していきます。
計算問題を毎日解いて計算ミスをなくす
中学受験で出題される算数の問題は、小学校で習う算数を理解しているのが前提なので、まずは小学校で習う算数を毎日解いてトレーニングしましょう。
問題を解く際、間違った部分をはっきりさせておくことが大事で、そこを曖昧に進めると、いざ試験のときに慌ててしまいます。不得意を完全になくすためにも、苦手分野をそのまま放っておかないように注意が必要です。
中学受験の算数を攻略するためには日々の積み重ねが大切ですが、親が子どもに関わってあげることも大事になってきます。
たとえば、算数の問題で九九や割り算などの初歩的な部分で凡ミスが発生することもありますよね?このまま子どもが凡ミスだと決めつけて放置すると、受験の際にまた同じ失敗を繰り返す可能性があります。
なぜその問題を間違ったのかを子どもに気付かせてあげるために、親も一緒に考えてあげましょう。基本的なことを理解しているのか確認して、その原因をつぶして改善するサポートをしてあげましょう。
受験は子どもがするものですが、親の協力なしでは合格できないことを忘れてはなりません。
図形問題は必ず自分で図を書く
算数の中でも図形問題を苦手としている場合は、実際に図を書くトレーニングが効果的です。図を書くことで情報が整理されて、どのように攻略すべきなのかイメージがわいてきます。
図を書くためには、問題文から必要な情報を抜き出さなさなければいけません。図を書くクセが身に付くことで問題文をしっかりと読むようになるメリットもあります。結果的に中学受験の算数で問われる読解力も身に付きます。
ただ、図形を書くといってもいきなり書けるとは限りません。子どもの中には問題文を読み取って図形をイメージするのが苦手な子もいます。
子どもが図形を書くことができるようになるためにも、まずは親が書いてあげましょう。親が見本を示すことで子どももイメージがわきやすくなります。
わからない問題は復習する
算数問題に限った話ではありませんが、解けなかった問題は複数回繰り返して解くことが重要です。
ただ、子どもは自分がわかる問題だけを解く傾向にあります。わかる問題は簡単にクリアできて達成感も得られるので、結果的に苦手な問題は放置しがちです。
ですので、子どもの苦手をなくすためにも、親がしっかりと見てあげましょう。子どもが苦手そうな問題を発見した際には、復習が大事だということを教えてあげて、わからせることが大切です。
難しい問題を繰り返して解けるようになると「苦手分野を攻略することの達成感」を覚えるので、自ら進んで苦手な問題に着手してくれるようになるでしょう。
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志望校の傾向をつかみ、それに合った対策を
今回は、中学受験の算数の特徴や算数が苦手でも成績アップする3つの方法を紹介しました。
小学校の授業だけでは解けない問題が出てくる中学受験の算数ですが、難しいからといって放置していては中学受験を乗り越えることはできません。
算数が苦手な子でも、親が子どもをしっかりとサポートしてあげれば、苦手意識を克服できて成績も上がる事でしょう。
また、中学受験の算数でよく出題される、旅人算と周期算の解き方のコツもご紹介しました。
例題を見たときは「えっ?」と思った方でも、解き方のコツを知ると、「なんだ、意外と簡単」と感じたのではないでしょうか。
その感覚を、ぜひお子さんにも実感してもらい、「できた」の自信を育ててあげましょう。
中学受験の算数の入試問題は、解き方のコツさえつかめば、小学生でも楽しく取り組むことができます。しかしこれを言い換えれば、入試特有の問題を解いたことがなければ、たとえ普段の成績の良い小学生でもつまずいてしまう可能性が十分にあるということです。
中学受験に挑むなら塾や家庭学習で、志望校の問題傾向を踏まえた入念な受験対策を行うことが大切です。