中学生のうちに英検のあるレベル(級)以上を取得しておくと、高校や大学入試で有利になるということを聞いたことがあるという方は多いと思います。
とはいえ、どの級を取得すればどれくらい有利になるか、具体的な情報となるとどうでしょう。
今回は中学生のうちに英検を取得するメリット、高校入試を考える際に取っておきたい英検のレベルの解説です。
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英検とは
正式名称を「実用英語技能検定」といい、毎年6月、10月、1月の3回実施されています。レベルによって「読む」「聞く」「書く」「話す」の英語力を測定し、合否を判定します。(「話す」は3級以上から)
各級のレベル
英検のレベルは初級から上級まで7段階に分かれています。各級のレベルについては以下のとおりです。
- 5級(初級)/中学初級(中学1年生修了)レベル
- 4級/中学中級(中学2年生修了)レベル
- 3級/中学卒業(中学3年生修了)レベル
- 準2級/高校中級レベル
- 2級/高校卒業レベル
- 準1級/大学中級レベル(英語圏での日常会話程度)
- 1級(上級)/大学上級レベル(ネイティブ)
2016年より英検の採点方法が変わりました。技能ごとにスコアを設け、スコアの合計が判定基準に到達すれば合格という方法に変更されています。
これまでは「読む」技能が0点であったとしても、その他の技能の点数が高ければ合格できていましたが、新たな採点方法は技能ごとに均等に配分されたスコアをクリアすることが条件になります。
「読む」「聞く」「書く」「話す」のどれか一つが得意というのではなく、どれも基準に達するレベルの総合的な英語力が求められるということになります。
英検の試験内容は?
英検の試験では、どのような内容が出題されることになるのでしょうか。
中学生初期レベルの「5級」から、中学生の間に取得すると有利になる場合もある高校卒業レベルの「2級」までの試験内容を見てみましょう。
| 筆記試験 | リスニング | スピーキング |
---|
5級 | 試験時間:25分 ・語句、会話文の空所補充 ・語句並び替え ※全て選択肢 | 試験時間:約20分 ・会話の応答文選択 ・会話やイラストの内容一致選択 | 試験時間:3分 ※希望者のみ実施 ・文章(20語程度)の音読 ・音読内容に関する質問 ・受験者自身に関する質問への応答 |
4級 | 試験時間:35分 ・語句、会話文の空所補充 ・語句並び替え ・長文の内容一致選択 ※全て選択肢 | 試験時間:約30分 ・会話の応答文選択 ・会話や文の内容一致選択 | 試験時間:4分 ※希望者のみ実施 ・文章(25語程度)の音読 ・音読内容やイラストに関することの質問 ・受験者自身のこと |
3級 | 試験時間:50分 ・語句、会話文の空所補充 ・長文の内容一致選択 ・英作文(記述式) | 試験時間:約25分 ・会話の応答文選択 ・会話や文の内容の一致選択 | 試験時間:5分 ・文章(30語程度)の音読 ・音読内容やイラストに関する質問 ・受験者自身のことなど |
準2級 | 試験時間:75分 ・語句や会話文、長文の語句空所補充 ・長文の内容一致選択 ・英作文(記述式) | 試験時間:約25分 ・会話の応答文選択 ・会話や文の内容の一致選択 | 試験時間:6分 ・文章(50語程度)の音読 ・音読内容やイラストに関する質問 ・受験者自身の意見など |
2級 | 試験時間:85分 ・短文、長文の空所補充 ・長文の内容一致選択 ・英作文(記述式) | 試験時間:約25分 ・会話や文の内容の一致選択 | 試験時間:7分 ・文章(60語程度)の音読 ・音読内容やイラストに関する質問 ・受験者自身の意見など |
英検の試験内容は、どの級も「筆記試験」「リスニング」「スピーキング」に分けられます。
ただし、4級と5級についてはスピーキングは希望者のみに実施され、級の合否自体は筆記試験とリスニングの結果で判定されます。3級以降になると、スピーキングの結果も合否に関わります。
筆記試験は、3級以降は選択式の問題に加え、英作文もプラスされます。また、準2級、2級になるにつれ文章量も増え、文章の内容も身近な話題よりも医療、ビジネス、テクノロジーなど専門性もより強くなることが特徴です。
どの級も過去問を見て自分に何が不足していて何を勉強すべきかを明確にしたうえで、試験対策の勉強をしましょう。
中学生が英検を取得するメリット
中学生のうちに英検を取得しておくと後々メリットを感じることがたくさんあります。
私立校と公立校で異なる英検のメリット
英検を取得しておくとどれほどのメリットがあるかは、受験する学校が公立高校なのか私立高校なのかによって異なります。
たとえば、公立高校を受験する場合は、地域によっては内申点に加算される場合や推薦入試などで有利に働くことも。一方、私立高校では、取得級によっては学力検査に加算されるケースもあり、公立高校よりメリットが大きい場合が多いのが特徴です。
では、英検を所有しているとどれほど有利になるか、具体例を見てみましょう。
公立高校受験での英検評価
中学生のうちに英検を取得すると、高校入試での内申点に加算されます。英検3級を取得していればプラス1点、準2級なら2点が内申点に加算される仕組みです。
「最大でも2点しか加算されないの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、入試における1点はとても大きく、「1点足りないばかりに推薦が受けられなかった」「英検のおかげで入試に合格できた」ということにもなります。
また、一部の高校入試では英検2級を取得している人に対し、英語の点数を80%保証する制度があります。(準1級を取得している場合100%)しかも当日の点数が80点よりも良かったときは、高い方の点数が採用されます。
例えば、大阪府ではこの制度を採用しており、2021年の入試データではトップ高が採用するC問題を受験した生徒のうち、英検2級以上で、英語の点数が80%以上取れたのは15%程度しかいませんでした。
そして2022年の文理学科の受験では5割以上の生徒が英検を利用しました。
英検取得がいかに高校入試を有利にできるかを示した結果でしょう。
また、学校長の推薦が必要になる推薦入試、生徒自身の学ぶ意思や興味を尊重する特色選抜を実施している地域では、英検取得がアドバンテージになることもあります。
特に推薦入試や特色選抜を考えている人は、積極的に英検取得を検討してみるとよいでしょう。
私立高校受験での英検評価
私立高校受験では、英検を取得していると学力検査に加点してもらえる学校もあります。
中でも、英語教育に力を入れている高校やコースの場合は、加点ではなく試験免除をしてもらえることも。求められる英検のレベルは3級の場合もあれば、準2級など学校によってさまざまです。
もちろん、公立高校、私立高校ともに英検を取得していてもメリットがない地域・学校もあります。志望校の英検取得級に対する扱いがどうなっているのか、一度確認をしてみることをおすすめします。
高校入試での優遇をねらうなら…
高校入試を有利にするなら「3級または準2級」の取得を目指しましょう。
3級は中学卒業(中学3年生修了)レベルにあたります。英語で比較的良い成績を取っているならば合格しやすいレベルです。準2級は高校中級レベルですが、基礎をしっかり理解し、英検対策をしていれば合格も難しくないレベルです。
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高校、大学での単位認定制度
英検を取得していると、多くの高校や大学で英語の単位として認められます。「単位認定制度」といい、1,000を超える学校で実施されています。また英検の取得は就職する際の履歴書に記入できるので、社会に出た後も大きなアピールポイントになります。
通訳案内試験の優遇
将来通訳など英語に関わる仕事に就きたいという場合にも英検は役に立ちます。1級取得者は「通訳案内士試験」の英語筆記試験が免除、準2~1級取得者は「高等学校卒業程度認定試験」の英語科目が免除になります。
海外留学での語学力の発揮
高校や大学で海外留学をする人がいます。短期留学や語学留学なら、英語があまり話せなくても大きな問題はないでしょう。しかし現地の学校に留学する場合、先生や生徒たちとのコミュニケーションや授業内容を理解するために英語力が必要になります。高校留学の場合は準2級、大学での留学なら2級を習得しておくことが望まれます。
自分の英語力がわかる
中学生のうちに英検を取得しておけば、自分の英語力がどのくらいのレベルなのか分かります。英語の学習は積み重ねが大切です。「読む」「書く」「聞く」「話す」の基礎的な力を磨くための指標として英検を受けてみましょう。
また、英検に受験資格はありません。過去に受けた級に関わらず、希望する級の受験ができます。自分の英語力を測るためにも、一度英検にチャレンジしてみてはいかがですか。
英検の資格で、海外の高校に留学することも可能
英検の資格を持っていれば、海外の高校に留学することも夢ではありません。
現在、アメリカやオーストラリアなどを中心に、約400大学・カレッジが留学する際の語学力を認定する手段として、英検を認定しています。オーストラリアの高校では、5州の州立高校が認定しており、高校での留学の選択肢も広がっています。
必要なレベルは学校によりさまざまですが、留学するためには「2級A」を取得していると、受け入れてもらえる学校がさらに増えます。
※「2級A」とは
2級に合格し、4技能合計CSEスコアが2150点以上の方に与えられる資格のこと。英検CSEスコアは、全級の合否結果とともに成績表にて確認できる。
海外に興味がある人、先々に留学を考えている人は、「2級A」を目指して早めから英検の勉強を始めるとよいでしょう。
英検の勉強は高校受験に役立つ?
英検に合格すると、高校受験でメリットがあることはお伝えしました。
では、英検の勉強自体は、高校受験の試験対策としては役に立つのでしょうか。
文法・単語の勉強は役立つ
英検3級は、中学卒業程度のレベルの内容が出題されます。
したがって、英検3級の試験対策をしっかりしていれば、文法・単語面では高校受験にも大いに役に立つと言えます。
記述式の勉強は不足する
英検の筆記試験は、英作文以外は選択式の問題であるため、記述式の問題は少ないという特徴があります。
一方で、高校受験では記述式の問題も出題されます。
英検の勉強だけで高校受験に必要なスキルを全て網羅されるわけではありません。学校や塾の授業、定期テスト対策などの勉強を日々確実にこなし、高校受験の過去問などにも取り組んだうえで、記述回答のスキルも養っていく必要があります。
中3で英検2級を取得するためのおすすめ学習法
高校入試を有利に進めるためには、中3で英検2級に合格しておかないといけません。そのためには、以下のように目標を立てて計画的に取り組むことが大切になります。
1. 中1で英検3級に合格する
2.中2の春か秋に英検準2級に合格する
3.中3で英検2級に合格する
英検2級に合格するためには、リーディングやライティング、リスニング、スピーキングの4種類別に勉強する必要があるでしょう。
ではここから、それぞれのお勧めの学習法を紹介していきます。
リーディングの学習法
リーディングは語彙力が大事ですが、例文付きの英単語を頭にインプットして覚えるようにしましょう。英単語を覚えるには文章に関連付けて記憶するのが効率的で、そうすると文法力も身につきスラスラと読み進めることができます。
また、リーディングは長文読解力も必要で、英語の長文を読み進める時はスピードが大事になります。読む速度を鍛える方法でおすすめなのが「多読」で、英語の小説でも参考書でもいいので、たくさん読んで少しずつ長文に慣れていきましょう。
ライティングの学習法
ライティングでおすすめの学習法は、英語で日記を書くことです。最適な英語の表現が分からないときは、自分で調べて知識を増やしていきましょう。
日記を書く習慣が身に付いてきたら長文の英文を書けるように努力していきましょう。
慣れるまでは時間がかかって大変ですが、焦らずに続けていくとライティング力が上達していきます。
リスニングの学習法
リスニングの学習法で大事なのは、英検サイトに掲載されている過去問を何回も繰り返して解くことです。過去問に解答する時は時間を計測するのが大事なポイントで、実際の試験と同じ形式で取り組みましょう。
他にもリスニングの学習法として、シャドーイングとディクテーションがあります。シャドーイングはリスニングで流れた英文を1~2秒後に復唱する勉強法で、リスニング対策としてとても有効です。
ディクテーションは放送される英文を紙に書きとる学習法で、現状のリスニング力が確認できるのが大きなメリットです。紙に記入すると聞き取れなかった部分が把握できるので、自分が苦手な部分を克服してリスニング力の上達につなげられます。
スピーキングの学習法
スピーキングの試験では、面接官に自身の英語で会話する必要があるので、英語で話をする訓練を取り入れましょう。
おすすめの方法は、就寝前やお風呂の時間をスピーキングの練習時間にして、普段から英語で自分の考えを話す機会を作ることです。
もちろん、最初は流暢に英語が話せる訳ではありませんが、学習を続けていくと次第にスラスラと話せるようになります。継続的に学習をしていく気持ちが大事です。
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まとめ
英検2級を取得すると、高校入試での内申点に加算されるだけではなく、高校や大学で英語の単位として認められたり、通訳案内士試験の英語筆記試験が免除されるなどのメリットがあります。
基本的な英語スキルが上昇しますので、その先の大学進学や留学にも役立ちますし、今後の人生にも大きく影響するでしょう。
受験生は高校受験の突破が第一ですが、これからの将来を考えると英検の取得は得られるものが大きく非常に価値のあることです。高校受験で有利になりたいなら、是非、チャレンジしてみてください。